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  ブラインドサッカーの醍醐味(その3)

ブラインドサッカーの醍醐味(その3)

もうひとつカテゴリー

ロービジョンフットサル(LVF)って?

協会はリオ大会への出場権を逃した後、2016年11月にスタッフを一新した。それまでの基礎作りの段階から、もう一歩サッカーに踏み込んだステージへのステップアップを目指し、専門家たちを集めた。JFAの協力もあり、現代表チーム部長はJFAスタッフでもある小森隆弘が就任している。 スポンサーが増えたおかげで、以前は考えられなかった月イチで代表合宿を開催し、海外遠征も年に1~2回実施できるようになった。信じられないだろうが、以前はフェンスの運搬や設置も選手行なっていたし、遠征費用は自腹だった。現在は増えたスタッフやボランティアのおかげで、選手たちは練習に専念できるようになっている。 視覚障がい者サッカーにはもうひとつカテゴリがある。ロービジョンフットサル(以下LVF)と呼ばれる弱視者によるフットサルだ。ルールは一般的なフットサルとほぼ同じで、アイマスクや転がると音の出るボールなどは使わないが、固有のルールとして、ピッチやラインとハッキリ区別できる色のボールを使うことなどがある。一見すると普通のフットサルと同じだが、大きな違いは選手たちにある。それぞれの「見え方」が違うのだ。視覚障がい者サッカーでは見えにくい順にB1からB3のカテゴリーがあり、B1は全盲から光を感じられるまでで、パラリンピックに参加できるのはこれに該当する選手だ。B2は矯正後の視力が0.03まで、または視野5度まで。B3は矯正後の視力が0.1まで、または視野20度までで、LVFのフィールドプレイヤーはB2とB3の選手が参加できる。その見え方はたとえば視界の右側が欠けている、中心が見えないなどで、視界全体が白や黄色に濁っているケースもある。そのため、ある選手は右側が死角となり、右からのボールへの反応が遅れがちになるので、できるだけ左からボールを回したり、声かけをすることが必須になるのだ。 このように仲間同士の濃いコミュニケーション力が求められるのが特徴だが、残念ながらLVFはパラリンピックの正式競技ではない。 参加資格に制限があると、多くの人にブラサカの楽しさを知ってもらうことは難しくなる。そこで協会は、独自のルールを採用している。国内大会においては視覚障がい者も晴眼者も男性も女性もアイマスクを装着すれば参加できるのだ。その最大の大会がアクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権。今年で16回を重ねるこの大会は、17年7月には史上最多の19チームが参加。3日間に渡って日本一のクラブを目指して熱戦を繰り広げた。 そして8月には毎年春に開催されるKPMGカップ ブラインドサッカークラブチーム選手権への出場を目指す地域リーグが始まる。この大会には、北日本、東日本、中日本、西日本のそれぞれの地域で勝ち抜いた上位チームのみが参加できる。協会は毎年海外からこの大会のためにチームを招聘しており、クラブチームが唯一海外勢と戦える機会となっている


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