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  誰もが走れる未来を目指して 遠藤 謙【エンジニア】(その1)

誰もが走れる未来を目指して 遠藤 謙【エンジニア】(その1)

「誰もが自由に走ることができる社会を作りたい」   そう熱く語ってくれたのが遠藤謙氏。スポーツ用義足、ロボット義足の研究者だ。  遠藤氏は、2008年のオスカー・ピストリウス選手の北京オリンピック出場に関する一連の騒動により、健常者よりも速く走れる可能性を秘めたスポーツ義足に興味をもち、12年にアメリカから帰国後、スポーツ用義足の開発を始めようとする。しかし、当初はなかなかうまくいかなかった。  「最初は、自分たちで会社を立ち上げることは考えておらず、どこかの義足メーカーと協力してやろうと思っていたのですが、実績もお金もないのでどこも相手にしてくれない。そんな状況下で、おもしろそうだから一緒にやろうと言ってくれたのが、為末大(※)だったんです。そして協力してくれる会社が現れて1年共同研究をしたのですが、カーボンが私の手に負えなかった。そんな時、私が所属しているソニーコンピューターサイエンス研究所に、たまたま東レの副社長が来て、紹介してもらって始まったのが東レとの共同研究なんです」  東レは、カーボンファイバーをはじめとする炭素繊維複合材料分野における世界でも有数の企業のひとつで、共同研究をする相手としてはこれ以上のものはない。  実際に義足を製作するのが、東レ・カーボンマジック。この会社は、もともとレーシングカーを製作していた会社で、カーボンの成形技術に関しては、長年蓄積されてきた膨大なノウハウをもっている。   ※為末 大(ためすえ・だい) 2001年と2005年の世界選手権、男子400mハードルで、陸上短距離種目の世界大会で日本人として初のメダル(銅)を獲得。シドニー、アテネ、北京と3度のオリンピックに出場。 写真・文/辻野 聡


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