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  「伝えるべきこと」がある 田中時宗さん(その3)

「伝えるべきこと」がある 田中時宗さん(その3)

センターポールでは、選手たちには「講演ではこんな話をしよう」という指導はとくにしていない。 「選手ひとりひとりの考え方も違いますし、障がいの部位や程度によっても意見は違います。でも『バリアフリー(多目的)用のトイレはできるだけあけておいてほしいです』といったことは、よく話していますね。彼ら当事者の具体的な意見は、聞き手の心にサクッと刺さるんです。 『あ、この人はこんなことで困っている、ここにスロープが必要なんだな』とか、一般の人がそれを目にして初めていろいろなことを考えるのが現実です。もちろん想像してバリアフリーの社会環境が整えばそれはそれでいいんですが、本当に障がい者の人たちが使いやすい設備を作るためには、彼ら障がい者の意見がないとダメ。私だって今まで2㎝くらいの段差なんて気にしたことはなかったんですが、彼らにとってはとても大きな段差だった。友達や知り合いに障がい者の人がひとりでもいたら、彼らの声が自分の耳に、心に届くんです」 田中さんは、所属している選手たちに「アスリートは見かけも大事だよ」とよく言っている。今年から、チームとしてスキンケアメーカーのサポートも受けることになった。〝障がい者はみんなおとなしい〞という固定概念を取っ払いたかったという。 「子どもたちが選手の近くに行って『あ、いい匂いがする。オシャレ!』と思ってもらうくらいがいいのではないかとも思っています。服装についてもこだわりたい。ストリートカルチャー系の要素をデザインに入れて、「守られている」というよりも「無骨でカッコいい」イメージを、弊社所属のアスリートには演出してもらおうと思っています」 イケてるパラアスリートたちが、情報をどんどん発信して、世の中が動く時代は、もう目の前に来ていそうだ。


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