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  年齢や障害の有無を超越してスポーツを楽しむ (その1)

年齢や障害の有無を超越してスポーツを楽しむ (その1)

2017年10月。スウェーデンでパラアイスホッケーの平昌パラリンピック最終予選が行なわれた。日本は5カ国中2位の成績で出場権を獲得。その日本チームでディ フェンダーとしてプレーしたのが、堀江航である。 「正直、スウェーデンに行く前は4対6くらいの割合で、日本には分が悪いと思っていました。でも、初戦のドイツ戦で勝って、ぐっと平昌に近づいたな、と」 ドイツ戦で堀江は1得点2アシストで勝利に貢献。大会を通して2得点5アシストの活躍を見せ、大会のベストディフェンダー賞を受賞した。 堀江は、小中高とサッカー少年として活躍した。U│ 12、U│ 15に出場、高円宮杯全国大会で優勝。都立駒場高では全国高校サッカー選手権にも出場を果たした。 その後日本体育大学に進学。3年時にバイク事故で左足のヒザから下を切断した。入院中から車いすバスケットボールを始めたいと、チームを紹介してもらったという。 「実際には、大学の授業で障がい者スポーツを学ぶ機会もありましたし漫画『リアル』も読んでいたから、車いすバスケの存在はすでに知っていた。だから、すぐにでも始めようと思っていました」 東京にあるクラブチームでスタートした後、現在日本代表監督を務める及川晋平に出会い、アメリカのイリノイ大学に車いすバスケ留学を果たす。大学院を卒業するとスペイン、ドイツのリーグで約5年間プレーした。2011/ 12シーズンには、ドイツの名門クラブ〈RSV Lahn│Dill〉でドイツカップ、ブンデスリーガ、ヨーロッパチャンピオンズカップの3冠を達成し、凱旋帰国する。 「イリノイ大では、バスケのオフシーズンに陸上競技や車いすソフトボール、シッティングバレー、ウェイクボードなどさまざまなパラスポーツに取り組みました。バスケも大好きだけど、他のスポーツも同じくらい面白い。さらに、違うスポーツに取り組むことで新たな視点で身体の使い方を覚えるし、メリハリがあるので、それぞれのスポーツに集中できる。クロススポーツのよさを、目一杯体感できたのが最大の収穫でした」 2012年に帰国すると、車いすソフトボール協会を立ち上げ、仲間を集めた。また、一般のブラジリアン柔術にも取り組み、義足を外して全身をフル稼働させている。 そうして、日本でのクロススポーツのひとつとして、パラアイスホッケーに出会ったのだった。「パラリンピックを目指さないか」という誘い文句が決め手になった。


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