パラスポーツ選手、片手でクッキング
身体づくりのために食事にこだわるアスリートは多い。食事量、栄養バランスだけでなく、筋肉づくりにはトレーニング直後に食べるといいなど、食事時間も気にかける。そうした食事は自炊が理想だが、料理があまり得意ではないという選手も多い。
料理は作業のフルコース。持ち運ぶ、切る、盛り付けるなど、多種多様な動作を伴う。そのためリハビリテーションにつながる反面、片まひなどで手指に機能障がいがあると難しい調理もある。
そこで長年、片まひ料理教室を開催してきた横浜市リハビリテーション事業団と東京ガスは、コラボレーション企画で料理ブックを発行。今回はパラアスリートたちが片手でする料理を体験した。
東京ガス 東京2020オリンピック・パラリンピック推進部・原口聖名子さんは、「片まひになった社員から料理のサポート情報が少ないと聞いたことがきっかけ」とその経緯を紹介。横浜市リハビリテーション事業団・常務理事の小川淳さんは、「再び料理ができるようになるためのプロセスが大切。ちょっとした工夫やアイデアによって自信をもつことができる」と話した。
献立開発では簡単な味付けにした。片手の作業では調味料の準備が大変なためだ。また単純な工程であることや、自宅での再現しやすさもポイント。
料理体験では、片まひになった自分に料理ができたという達成感を重視。そのため料理初心者が参加する場合は、スタッフが道具の準備をしておき、参加者は食材を切るところから、炒める・煮る・味付けといった調理、盛りつけまでを体験する。片づけをするのも余裕がある参加者だけだ。
自分で料理することは少ないという選手たちも楽しく体験できて、これなら自宅でできると好評だった。
取材/安藤啓一 写真/石橋謙太郎
page top