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  東京マラソン、51歳ベテランが初優勝!

東京マラソン、51歳ベテランが初優勝!

東京駅・丸の内がゴールとなった新コースで2回目の開催の東京マラソン。アップダウンが少なく抜きどころも減った高速コースで、レベルの高いレース展開が期待されていた。 今年の車いすの部男子は、51 歳の山本浩之と23歳の鈴木朋樹のふたりがレース序盤からトップを独走する一騎打ちの展開に。スプリント力のある鈴木をベテランの山本がゴール直前で抜き去り、そのままゴールスプリントを制して優勝を決めた。 「最初から速い展開のレースだった。事前の天気予報よりも暖かい気温で風もなかった。身体が動いていたから、積極的に走れた」 山本は序盤からふたりで逃げきる覚悟を決めた。ただ相手は息子のような年齢の若い選手だ。 「朋樹は自分よりも加速力がある。ラストスパートの勝負になると、追いつけないかもしれないから、早めに引き離したかった」 ところが自分の後ろにぴたりと着かれたまま、「何度かスピードを上げたけれど振り切れなかった」 鈴木は先頭交代にも応じない。ゴールスプリントに体力を温存する作戦だ。その様子をみて山本は「君の土俵で勝負してやろう」と腹をくくり、先頭を走り続けた。 丸の内のオフィス街に入ると、案の定、鈴木はスパートをかけてきた。山本は諦めず、ピタリと着いていく。そして鈴木に疲れの見えた一瞬の隙をついてスピードを上げると、そのままゴールに飛び込んでいった。 鈴木は、「ゴール前、左に曲がるところで左を見たら(山本が)いなかった。右を見たらもう抜き去られていた」という。完敗だ。 「レース序盤から先頭を走り続けて、疲れ切ってからのラストスパートだった。しかもスパート力のある若い選手に勝てた。会心のレースだった」 この優勝は、積み重ねてきたトレーニングと、入念な準備がもたらした。 「51歳にして、ようやくポジションとフォームが決まってきた」と山本。通常は年末から年明けにかけて、新しいシーズンへの準備をする。フォームの修正やグローブなど用具の調整をしてステップアップに取り組む。それが山本の、いつものパターンだった。 ところがこの冬は何も変更する必要がなかった。「マテリアルも固まった。トレーニングがしっかりできれば、いいレースができるだろう」と、このレースは狙っていた。 「フォームが安定して身体の力を車輪に効率よく伝えられる。少ない力で(車輪を)回すことができれば、持久力も上がる。瞬発力も出せるから、うまくいく」 車いすは、丸の内の石畳で振動吸収しやすい柔らかめのフレームを選んでいた。すべてをこのレースに合わせての優勝だった。 文・写真/安藤啓一


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