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  リサイクルシステムで未来を創る(リネットジャパングループ株式会社)

リサイクルシステムで未来を創る(リネットジャパングループ株式会社)

「都市鉱山」という言葉をご存知だろうか? パソコンなどの小型家電には希少金属等の有用物質が使われているのだが、壊れるなどして放置されているものが意外と多い。きちんと収集、分解すれば貴重な資源になるという意味で、小型家電が眠っている企業や家庭、あるいは町全体を「都市鉱山」と呼ぶ。 この都市鉱山のリサイクル事業には、資源の有効活用以外にも社会的な意義があるという。家電の解体には手作業が必要で、多大な集中力が要求される。そこで現場では、集中力が高いとされる知的障がい者が活躍している。リサイクル事業は知的障がい者の雇用にも役立っているのだ。パソコン1500〜3000台で1年分の雇用を生み出すという。 この事業を展開しているのがリネットジャパンである。代表の黒田武志さんに話を伺った。 黒田さんは、トヨタ自動車を退社後、2000年にイーブックオフ(のちにネットオフに社1050名変更)を設立。インターネットを使った書籍やCDなどの買取、販売を進め、次々と取扱品目を拡大させていった。 当時はネットビジネスが注目され始め、イーブックオフも売上は年々倍増。しかし、低単価なのに物流や在庫管理に多大なコストがかかっていた。 トヨタ仕込みの「カイゼン」に取り組むも、黒字転換には6年を要した。創業時の目標だった株式上場にはなかなか届かず、「経営者としてのモチベーションを失いかけた」という黒田さん。もう一度事業のあり方に思いをめぐらせた。 そして2010年、創業10周年を機に経営理念「ビジネスを通じて『偉大な作品』を創る」を打ち出す。どういう意味だろうか? 黒田さんは、「ビジネスには収益と社会性の両立が必要だ」という。しかも、本業とは別に社会貢献に取り組むのではなく、本業がそのまま社会貢献にもなる事業こそ「偉大な作品」といえるのではないか。この経営理念を元に立ち上げたのがリネットジャパンだ。 リネットジャパンでは、都市鉱山のリサイクルと障がい者の雇用支援という収益と社会性を両立させた事業を進めた。また、小型家電から抽出した原材料で東京オリンピック・パラリンピックのメダルをつくるプロジェクトにも参画。「日本のモッタイナイ精神を世界に発信する良い機会。東京大会後も続けていきたい」と黒田さんは語る。 さらに、リネットジャパングループは「スペシャルオリンピックス2018愛知」の大会スポンサーとなり、回収したパソコン1台につき、50円を寄付するというプログラムを立ち上げた。環境にやさしいリサイクル事業を行ないながら、障がい者の雇用を増やし、さらにスペシャルオリンピックスへの寄付にもなる。実に社会的意義の大きい事業だ。適切な利益も得ているので永続性もある、まさに「偉大な作品」である。 この愛知大会での取り組みで得られたものは大きかった。地元で回収したパソコンで地元の障がい者の雇用を増やすという今回の成功例を、全国に広めていきたい。そのためにも「スペシャルオリンピックスとは今後も積極的に関わっていきたい」と語る黒田さん。これからも収益と社会性を兼ね備えた「偉大な作品」を創り続けることだろう。 取材・文/福田 智弘 写真/リネットジャパン・編集部


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