エンタメの力で可能性を広げる!
現在、さまざまなメディアで活躍中の葦原 海(みゅう)さん。
16歳の時に車いすユーザーとなり、18歳でモデル・タレントデビュー。
そんな葦原さんをゲストに招き、主な活動内容と今後の展望について伺った。
少々奇抜なカラーのヘアスタイルに、エッジの効いたネイルアート。変幻自在なファッションセンスと卓越した話術の持ち主。多数のファッションショーをはじめとし、TV、ラジオ、グラビア、企業広告モデル、講演会、MCなど幅広いジャンルで、マルチな活躍を披露し、最近では、車いすユーザーに向けた着物のプロデュースもこなす。
「普段から着物を着ていると、いろいろと課題が見えてくるんです。
車いすユーザーである私の目線から、さらに可愛くおしゃれに、機能的に着られる着物があれば、と思いました。和装時には、障がいによってさまざまな不具合が生じることがあります。
それらを解消するための工夫や、手持ちの振袖をリフォームして使えるようにする技術の開発などについて、着物専門店の『三松』さんと一緒に研究を重ねています。
成人式を迎えた車いすユーザーの女の子の中には、『着られる振袖がない』ことを理由に、式典に出たがらない子もいます。
それはとても残念。成人式にワクワクしながら参加できる女の子たちがひとりでも増えてくれると嬉しいんです」
ファッションもヘアもネイルも好きなテイストはさまざま。その時の気分でコロコロ変わる。モットーは至ってシンプルであり、「他人とカブりたくない」それだけ。
「ひとつのスタイルに凝り固まりたくないし、他人とカブってしまうのが一番嫌い。基本的に行く場所に沿って、その風景に合うファッションでいることを楽しんでいます。多い時には車の中などで着替えて、1日に2〜3回服装が変わることも(笑)。ネイルは、サロンへは行かないセルフ派です。インスタグラムなどで気に入ったネイルアートを見つけたら、大抵は自分の手で再現できます」
そんなみゅうさんには、講演会の依頼も多数。テーマには、バリアフリーや福祉についてもあるそうだが、みゅうさんは主に人生観を語ることが多い。
「私は車いすユーザーであって、バリアフリーや福祉の専門家ではないんですね。16歳で足を失いましたが、一度も落ち込んだことはないです。
16歳で車いす生活になり、18歳でモデル・タレントとしての活動を開始しました。まわりからは『復活が早過ぎない!?』と言われましたが、私にとっては落ち込んでいないので、復活も何もありません。普段通り生活しているだけです。なので、講演会では、当事者である私の私生活のことをお話ししています」
「モデルという職業は、一般的にいうとファッションモデル。私の職業であるモデルは『お手本』という存在で居続けること」。そんな持論を持つみゅうさんは、さらにこう続けた。
「エンターテイメントの力を通じて、いろいろな障がいをお持ちの方と健常者の垣根を壊していきたい。そして、車いすユーザーの子でも、例えばモデル・タレント・女優の仕事に憧れを持って、その職業を目指せる環境に変えていきたい。最初からあきらめずに、捉え方ややり方次第で、将来の選択肢を大きく広げることができるってことをみんなに伝えていくことが夢であり、目標でもあります。それこそが、私の使命かな、と思っています」
あしはら・みゅう/1997年生まれ、愛知県出身。16歳の時の事故により、車いすユーザーに。2016年、TV番組の出演をきっかけに、モデル・タレントとして活動を開始。ファッションショー、TV、ラジオ、グラビア、企業広告モデル、講演会、MCなど幅広いジャンルで活躍中。「2020年東京オリンピック・パラリンピック」公式イメージ動画にも出演 https://myu-official.com
取材・文・写真/宇田川大輔(M-3)
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