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  パラアスリートの軌跡⑰ ゴールボール 欠端瑛子

パラアスリートの軌跡⑰ ゴールボール 欠端瑛子

パラアスリートの軌跡 第17回目となる今回は…ゴールボール 欠端瑛子選手のインタビューをプレイバック!(2019年10月発売号掲載。※現在とは異なる内容などありますがご了承ください) 高速グラウンダーやバウンドボールなどスローのレベルが上がり、世界のゴールボールは今、点の取り合いになる試合も増えている。守備力に定評ある日本女子の中で、ポイントゲッターとして期待されるのが欠端瑛子だ。世界と伍して勝つために今、心がけていることとは? ―ゴールボールは高校入学後、お友だちに誘われたことがきっかけでしたね? 欠端瑛子(以下、欠端) はい。実はスポーツはあまり好きではなかったんです。走るのは嫌いだし、弱視なのでボールも見えにくく怖いので球技も苦手でした。でも、ゴールボールは目隠ししてするスポーツなので、条件が皆一緒になる。そんなルールも含めて、「私に合っているスポーツだ」と感じました。 ―そうして始めて、約10年?日本代表としてパラリンピックも2回出場しています。 欠端 ゴールボールに出会って人生が変わったなと思います。もし始めてなかったら、「自分は今、何をしていただろう」と考えるときもあります。スポーツはやっていないかな。出会えてよかったと思っています。でも、始めてすぐに、2011年のユース大会に日本代表として出場しましたが、最下位に終わって悔しかったことを覚えています。翌年にはロンドンパラリンピックの代表にもなれて、私も予選ラウンドなどで何度か出場機会もありました。でも、決勝の中国戦は先輩3人が中心で戦い、私はベンチから応援しました。団体競技としては日本初と言われるパラリンピックの金メダル獲得は先輩たちのおかげです。やっぱり悔しくて、「いつか自分で獲りたい」と、強く思った大会でした。 ―続くリオ大会はレフトウィングとしてスタメンもまかされるようになりました。 欠端 でも、順位は5位。準々決勝の中国戦で「私のあの失点がなかったら」など、また悔しさが残ってしまいました。私がゴールボールを続けている要因は悔しさかもしれませんね。 ―東京大会は代表に選出されれば、3度目になります。どんな大会にしたいですか? 欠端 もちろん、金メダルを獲って悔しさを晴らしたいです。それともう一つ、日本開催なので大勢の人に会場で見てもらい、ゴールボールの魅力を伝えて知名度を上げたいです。そのためにも今、代表に選ばれるようにがんばっています。 ―主にどんな点を強化していますか?  欠端 ディフェンスです。日本は以前から守備力の高いチームですが、世界のボールは圧倒的に速くバウンドも高い。そして、相手の嫌なところに繰り返し当ててくるコントロールの良さもある。そんなむずかしいボールをしっかりキャッチする守備力が重要です。それが良い攻撃にもつながっていきますから。 ―欠端さんはポイントゲッターとして水平に一回転して投げる「回転投げ」を武器に得点力も期待されています。プレッシャーにはなりませんか? 欠端 いえ、応援は本当に力になりますし、期待に応えてもっと得点できるようになりたいです。回転投げは遠心力でボールの(中の鈴の)音が聞こえにくくなるのでどの位置から投げ出されたかがわかりにくくなる効果があって、守備のふいをつく攻撃ができます。ようやく体に動作がしみ込み、球速も増してきた手ごたえがあります。 今はさらに、バウンドボールを改良しています。これまでより短い助走でボールを床に投げて高さを出すことが主な目的です。勢いがつきにくいので失速しやすく投げ出すタイミングもむずかしいですが、大小のバウンドボールの組み合わせとグラウンダーの使い分けで、武器を増やそうとしています。 ―課題はありますか? 欠端 コントロールの精度です。狙ったところに投げることで作戦が遂行できますから。(拡充された)ナショナルトレーニングセンターには東京パラリンピックと同じ床材のコートが敷かれているので、そこでバウンドやグラウンダーの感覚を磨いています。会場によって床材が異なりプレーにも影響しますが、東京大会のコートはボールが速く転がりバウンドも弾みやすく攻撃側に有利な床だと感じています。そこで練習ができるのは守備の強化にもつながります。 ―会場環境がプレーに影響するんですね。床材の他にもチェックポイントはありますか? 欠端 「音の聞こえ方」ですね。広さや天井の高さによって音の反響が異なりますし、観客の人数でも違います。歓声はうれしいですが、仲間の声も聞こえにくくなるので注意が必要です。それに、ゴールの形も多様なので、しっかり触って凹凸や支柱の位置などを確認し、「あそこ引っかかるから注意」といった情報もチームで共有します。 ―なるほど。それにしても、横になって守り、立ち上がって投げ、また横に……。体力が必要ですよね。 欠端 息切れすると、(音を聴く)集中力も利かなくなります。持久力や筋力トレーニングは欠かせないし、メンタルの強さも鍛えないと……。仲間や応援の声が力になりますね。 ―改めて、東京大会への思いを教えてください。 欠端 選手も、観客も楽しめるような試合にして盛り上がればいいなと思います。ボールの軌道も見ながら、両チームの戦略にも注目してください。「あの選手を狙っているのかな」「こう投げたから、次はこう投げるだろう」など、選手になった気分で戦略を考えながら観戦するのもおもしろいでしょう。ぜひ、会場にいらしてください。  
欠端 瑛子/かけはた・えいこ 1993年2月19日神奈川県出身。(株)セガサミーホールディングス所属。先天性白皮症による弱視(B3)。ゴールボールは高校時代、友人に誘われて始める。2011年世界ユース選手権で国際大会初出場以来、日本代表ではレフトウィングとして活躍。12年ロンドンパラリンピック金メダル、16年リオパラリンピック5位入賞にも貢献。17年アジア・パシフィック選手権、18年アジアパラ競技大会、優勝。持ち味は165.5cmの体格を活かした力強いスローの攻撃力。17年リトアニアの国際大会では得点女王に輝く
あとがき 17回にわたってお送りしてきた「パラアスリートの軌跡」も今回で最終回となります! 来たる東京パラリンピックで活躍してくれるであろう選手や関係者のみなさんの思いや情熱を、インタビューを通してお伝えすることができたのではないでしょうか? パラスポーツマガジンは、ご出演いただいたすべての選手、関係者さまの現在とこれからを追い続けたいと思います! 次回の更新もお楽しみに!!
取材・文/星野恭子 写真/堀切功    


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