「学ぼう!デフリンピック特別授業」都内で開催
来年開催される「東京2025デフリンピック」。聴覚に障がいを持つ(=デフ)アスリートが集うオリンピックだ。開催に向け、開催地となる東京都を中心に、現在さまざまな普及活動が行われているが、デフリンピックや手話などを学習する「学ぼう!デフリンピック特別授業」が東京都品川区台場小学校で行われた。
6年生、52名を対象に行われた特別授業の第一部は、教室での座学。東京2025デフリンピック応援アンバサダーの川俣郁美さんとデフ柔道アスリートの佐藤正樹選手が、視覚障がい者やデフリンピック、手話について講義した。児童たちは、世界中の人々のうち20人に1人が聴覚障がい者で、手話で話す「ろう者」は100人に1人いること、手話は世界に200以上の種類があること、来年東京で開催されるデフリンピックは日本では初開催で21競技が行われることなど学んだ。手話コミュニケーション体験も行われ、児童たちは「ありがとう」「がんばれ」「だいじょうぶ」など題材となった手話を、すぐに覚えた様子だった。
体育館で行われた第二部には、東京2025デフリンピック応援アンバサダーを務めるタレントの長濱ねるさんが参加。デフリンピック公式マスコットの「ゆりーと」や品川区の応援キャラクター「シナカモン」「ピーチュウ」「やたたま」も会場に駆けつけて盛り上げた。
ここではデフスポーツに欠かせないスタートランプなどの競技用具が紹介され、児童代表が実際に体験。またユニバーサルコミュニケーションツール「Ontenna」(オンテナ)が全児童に配られ、それぞれ腕に装着。音の特徴を振動と光によって体で感じることができるOntennaで、音のない世界でもリズムを体感できることを学んだ。最後は富村陽子さん指導のもと、東京2025デフリンピックのために作られたダンス「しゅわしゅわ☆デフリンピック!」を全員で踊った。
授業を体験した児童からは、次のような感想が聞かれた。
「川俣さんや佐藤選手が、耳が聴こえなくても堂々と振る舞っていたところがすごいと思った。簡単な手話を覚えたい」
「川俣さんが『耳が聴こえないからこそ、こうした出会いや体験ができることがとても良かった』と言っていたところがポジティブですごいと思った」
「筆談だけでなく機械を使ってコミュニケーションできることを知った。町で障がい者にあった時、どんな工夫をすればこの人を楽しくさせられるのか考えていきたい」
「スタートランプなど装置を考えた人に選手は感謝しているんだろうなと思った。デフリンピックの試合の見どころがわかって応援しようと思った」
東京都では、都内区市町村の全小学校1382校の4~6年生約34万人に「学ぼう!デフリンピック」冊子を配布。これはデフリンピックの概要やデフスポーツの特徴、聴覚障がいや手話などを漫画やクイズを通して子どもが楽しく学べる内容と好評のWEBコンテンツを冊子化したもので、今回の特別授業などと合わせてデフリンピックを広く普及していく。
取材・文・写真/編集部