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  大きくバージョンアップして開催された「BOCCIA JAPAN CUP 2025」

大きくバージョンアップして開催された「BOCCIA JAPAN CUP 2025」

4月5日~6日、東京体育館でボッチャのインクルーシブ大会である「BOCCIA JAPAN CUP 2025」が開催された。TOKYO CUPからJAPAN CUPに名称が変わり、大きくバージョンアップした大会となった。全国の地区予選を勝ち抜いたチームのほか、日本代表チームの火の玉ジャパンメンバーをはじめとする招待チーム全48チームが集結。5日は12グループに分かれて予選ラウンドが行われ、その結果から16チームが翌6日に決勝トーナメントを戦った。

この大会は、障がいのある人もない人も参加可能で、ボッチャを愛する人がチームを結成して出場できることが大きな特徴。年齢も、性別も、競技歴も関係なく出場でき、テクニックと戦術、戦略を駆使して勝ち進むというまことにインクルーシブな大会である。各チーム3人が出場するチーム戦で、一人2投ずつ全6投で1エンド、予選ラウンドから準決勝までは1試合2エンド、3位決定戦と決勝のみ4エンドで競われる。

今回の目玉は、なんといっても、昨年パリパラリンピックのボッチャ個人種目BC2で金メダルを獲得したタイのワラウット・セーンアンパ選手率いるタイ代表チームが参戦すること。また、東京2020パラリンピックの同種目で金メダルに輝いた杉村英孝選手、パリ大会銅メダルの廣瀬隆喜選手ら、火の玉ジャパンのメンバーもチームRED、BLUEと2組が参戦した。

一方、オリンピックの柔道で活躍したオリンピアンチーム、今年行われるデフリンピックでメダル獲得が期待されるデフバレーボールのスタッフによるチーム、オリンピック、パラリンピックの競泳選手によるオリパラチーム、パラ卓球チームなどもボッチャに挑戦した。

パラ卓球チームも参戦。予選敗退するも、イベントを楽しみ、決勝トーナメントを食い入るように観戦していた

多様性に満ち満ちた48チームの中で、今大会目を引いたのが、新潟カップを勝ち抜いて初出場したチーム「ゆでたまご」。高校2年生の小島惺那選手、1年の咲音選手姉妹と、同じく1年の春日桜佳キャプテンによる高校生チームだ。予選ラウンドでは2勝1敗で決勝トーナメントに進出。準々決勝では火の玉ジャパンBLUE(BC3クラス、BC4クラス)を2−1で下して準決勝へ。その準決勝でタイ代表と対戦し惜しくも0−3で敗れ、3位決定戦でわくわくわらっぴーに3位を献上したものの、キャプテンの春日選手は、今大会のMVPに輝いた。

準決勝でタイ代表チームと対戦したゆでたまご

火の玉ジャパンBLUEとの対戦では、1エンド目にゆでたまごが1−0でリード。2エンド最後にBC3ベテランの有田正行選手がジャックボールの上にボールを乗せて同点とした。セカンドボールの位置を審判が測定し、ゆでたまごに軍配が上がったのだった。会場からは大きな拍手が沸き起こっていた。

もともと、地元・十日町で小学生のスポーツチャンバラを楽しんでいたが、コロナ禍でできなくなり、そこから指導者の福原芳昭氏がボッチャを広めて、週3回の練習を重ねて今大会の出場を果たしたという。

「1カ月くらい前からやっと6ボックス(ボッチャコート)で練習できるようになりました。もっと前からやっていたら、もっといい成績だったかも」(小島・姉)

「ボッチャ始めてすぐに地元の大会とかに出場するようになって、どんどんおもしろくなっていきました」(小島・妹)

「十日町では、すごくボッチャ、人気があります。多分、新潟県で一番ボッチャやっている人が多いと思います」(春日)

ちなみに、「ゆでたまご」というチーム名は、ボッチャの大会に出場するようになってチーム名を考えるときに、仲間の一人が「ああ、ゆでたまごが食べたいなあ」と言ったひと言で決まったのだとか。ユニークさではピカイチで、3人とも気に入っている。

「JAPAN CUPは、去年優勝して今年2位になった川崎ボッチャーレとか、すごくかっこいいチーム名ばかり。来年はもしかしたら、チーム名を変更するかも」

来年には、緊張しないように、さらに集中力と体力をつけて、もっと上の成績を目指すと語る。

ゆでたまごの面々。左から小島惺那、春日桜佳、小島咲音の各選手
ゆでたまごのキャプテン・春日桜佳選手は大会MVPに輝いた

優勝したタイ代表チームのセーンアンパ選手は、3年前にも1度、今大会に出場した経験があるが、その時は予選敗退だった。

「タイには、この大会のように健常者と障がい者が一緒に競い合うような大会はありません。日本のボッチャ人気と、レベルの高さにすごく驚いています」

優勝したタイ代表チーム

決勝で惜しくもタイ代表チームに敗れた昨年チャンピオンの川崎ボッチャーレ、キャプテンの鶴井純一朗選手は、「パリパラリンピックの金メダリストと対戦できるのはすごく光栄でした。正直、ものすごく強くて、これまでみたことのない世界を見せてもらいました」と、語った。

2位の川崎ボッチャーレ
3位のわくわくわらっぴー

来年には、誰もが頂点を目指せるボッチャ個人戦の最高峰大会となるBOCCIA GRAND PRIXが開催予定だ。どの選手も今から楽しみにしていると語る。ボッチャは、ますます熱くなる!

文・写真/宮崎恵理



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