
パラ水泳に期待の新星! 中学1年生になったばかりの山田龍芽(S6)
4月10日〜12日に静岡県富士水泳場で開催された「パラ水泳ワールドシリーズ富士・静岡2025」。今大会、18歳以下のユースカテゴリーに日本チームは13名の選手が出場した。その中で、キラリと輝いたのが、中学1年になったばかりの山田龍芽(S6クラス)だ。

2012年7月、神奈川県に生まれた山田は、2歳で悪性リンパ腫を発症し車いす生活となった。抗がん治療を完了させて5歳から水泳をスタート。横浜にある障害者スポーツ文化センター“横浜ラポール”での体験会で初めて車いすを降りて水の中に入った。
「もう、すごく楽しかった! いつもは車いすに座っているけど、プールに入ったら体を思い切り伸ばせる、自由に動ける。それが、楽しかったんです」
水に慣れ、少しずつ泳ぎを覚えるようになるとすぐに競技大会に出場することに。
「幼稚園の年長組の時に、健常者の大会に出場したんです。そうしたら、その時のレースで健常者の子どもを追い抜いて泳いだんですよ」。そう語るのは、母の清香さんだ。
そこから本格的に水泳に取り組みたいと紹介してもらったのが、パラ水泳の名門クラブ「宮前ドルフィン」の稗田律子コーチだ。現在は、1回2時間、週3回のトレーニング時にコーチが横浜ラポールに来て指導する。
小学1年からパラ水泳の日本選手権にも出場しているが、国際大会は今回が初めて。初日の50mバタフライで48秒60、2日目の200m個人メドレーで3分39秒64、3日目にはもっとも得意とする400m自由形で6分00秒62という記録を残した。
「最初の50mバタフライの時は、もう心臓バクバクで緊張はいつもの倍くらいありました。スタートの時には、失格になってはいけないということだけに集中して思い切り飛び込んだらうまくいって、あ、これはオレ、いけんじゃね、って思った。全部のレースで自己ベストが出ました!」と、初めての国際大会での成果を喜んだ。
好記録が出せたことについては、今年1月に今大会出場が決まってから取り組んできたターンの改善が要因と、自己分析している。「コーチからターンがよくなれば、あと2秒はタイムを上げられる、と教えてもらっていました」。とくに400mではターンの質がタイムに直結する。また、レース展開では「体力には自信があります。200mまでの前半から飛ばして、300mで少しだけ休みながら最後の400mでスパートをかける。それもうまくできました」
一方で、400m自由形では6分を切りたかったので、少しだけ悔しさが残る。「育成のコーチから5分45秒を切れば、来年愛知で開催されるアジアパラの特別強化選手に選出される可能性があるということを聞いていたので。今後、そのタイムを早く出して、強化選手の一人に選ばれることが目標です」
普段は、水泳だけでなく車いすテニスやチェアスキーなども楽しむが、競技としては水泳に「全集中!」している。「来年のアジアパラ、その先のパラリンピックに出場したいです!」。今大会出場したユース世代選手たちの未来に、期待したい。

取材・文/宮崎恵理 写真/吉村もと