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  未来ある子どもたちを応援するプロジェクト「O-EN KIDS チャレンジ陸上アカデミー」開催

未来ある子どもたちを応援するプロジェクト「O-EN KIDS チャレンジ陸上アカデミー」開催

4月13日、東京・夢の島競技場で「O-EN KIDS チャレンジ陸上アカデミー supported by OPEN HOUSE」が開催された。これは、未来ある子どもたちを応援するプロジェクトで、今年2回目の開催である。

当時はあいにくの雨のため、急遽、室内でのプログラムに変更された。第1部は、今年3月にパラスノーボード世界選手権のバンクドスラロームで優勝した小須田潤太(オープンハウスグループ所属)による、心のバリアフリー特別教室。第2部は、子ども用レーサー(陸上競技用車いす)と、バスケ車(車いすバスケットボール用車いす)に実際に乗って楽しめるアクティビティ、第3部には楽しみながらユニバーサルデザインを学ぶモリサワUDフォント特別教室が実施された。

集まったのは、障がいのある子ども4名を含む、子ども6名とその家族。「みなさ〜ん、こんにちは!」。小須田の元気な大声が、室内に響き渡る。小須田は、2012年、21歳のときに交通事故で右足大腿部を切断。義足で走るクリニックに参加したことでパラ陸上競技に取り組み、2021年に開催された東京パラリンピックに初出場した。陸上と並行してパラスノーボードにも取り組み、2022年北京パラリンピックに出場。現在はスノーボードに専念し、今年3月、世界選手権での金メダル獲得へと急成長を果たしている。

小須田は、子どもの頃のこと、交通事故で義足になった時のこと、パラ陸上競技を始めたきっかけになったメダリストの山本篤さんのこと、そしてパラスノーボードでの取り組みなど、熱く語った。

オープンハウス所属のパラスノーボード選手・小須田潤太が自身の経験をスピーチ。参加者に自らの義足を触ってもらった

「みんな、今日は僕の義足に思い切り触ってもらいます」。そう言って、陸上競技用の義足、スノーボード用の義足、さらに、本人が日常的に使用している義足を、その場で外して集まった参加者たちに順番に触ってもらった。

小須田の義足に触れる、自身も義足ユーザーの小宮佑都さん(中央)とその家族

「スノーボード用は、すごく重たいんですね」「ロボットみたいだ〜」。大人も子どもも、それぞれの義足を両手に持って、その重量感を体感した。「僕も、義足だよ」。参加者のひとりである小宮佑都さん(小学6年)が声を上げた。この日は車いすで参加していたが、左脚は、小須田と同様大腿義足、右脚は膝下に義足を装着している。「絶対に、一度走る義足にチャレンジしたらいいよ!」と小須田が応じた。

小須田は自身の義足だけでなく、獲得した世界選手権の金メダルや、2023年のワールドカップ年間総合2位になった時のメダルなども披露した。

「小須田選手は、義足になる前から足は速かったのですか」「スノーボードは、昔からやっていたのですか」。質疑応答になると、大人からも活発に質問が飛び出す。

「昔はプロサッカー選手に憧れてサッカー部に入っていましたが、その中では足が速い方でした」「スノーボードは、せいぜい家族でゲレンデに行っていた程度です」と小須田。むしろ、義足になってから、本気で陸上競技もスノーボードにも取り組んできたのだとか。

特別教室の最後に、小須田は、参加者一人ひとりの目を見つめながら、こう語りかけた。「僕から伝えたいのは、いっぱい失敗しましょう、ということ。いっぱい失敗するということは、それだけいっぱい挑戦している。僕も、数えきれないくらい失敗してきたけど、その中で成功にもつながった。スポーツだけでなく、勉強でもなんでも、全力で目の前のことに取り組みましょう!」。その言葉に、参加者全員が大きくうなずきながら、大きな拍手を送っていた。

車いすバスケ車に試乗体験
陸上競技用のレーサーは大きくて動かすのが大変!

第2部では、小須田も手伝いながら、子どもたちがレーサー、バスケ車を体験。バスケ車には大人も試乗し、白と赤のポールの間を走るスラロームに挑戦した。車いすで参加した小学3年の高橋美月さんは、学校の体験会でも挑戦したことがあったというが、「レーサーは大きくて、動かすのが大変だけどすごく楽しかった!」とか。パラスポーツの中では「ボッチャが大好き。将来は学校の先生になりたい」と、目を輝かせていた。

第3部では、誰もが読みやすい「文字」であるユニバーサルフォントについての特別教室が行われた。アクティビティに参加して、漢字クリアファイルやオリジナルチケットホルダーなどがプレゼントされた。

あいにくの雨にもかかわらず、参加者にとっては小須田の講話を含め、貴重な体験の場になった。参加者は、「次は晴れた日に、外でレーサーに乗りたい」と、次回のアカデミー開催に期待を寄せていた。

文・写真/宮崎恵理



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