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  TEAM JAPANが発進!東京2025デフリンピックへ

TEAM JAPANが発進!東京2025デフリンピックへ

11月に日本で初開催されるきこえない・きこえにくいアスリートの世界最高峰の大会、「東京2025デフリンピック」に向け、主催する全日本ろうあ連盟は7月31日、東京都内で会見を開き、日本代表選手団を発表した。選手は史上最多となる273人(男子160人、女子113人)で、実施される全21競技に参加予定だ。

デフリンピックは1924年のパリ大会から始まり、オリンピックやパラリンピック同様、4年に1回、夏季と冬季に開催されている。東京大会は25回目の夏季大会であり、大会創設100周年の記念大会でもある。世界70~80の国・地域から約3000人の選手が参加予定で、会場は東京都内を中心に福島県(サッカー)、静岡県(自転車)の1都2県に広がる。11月15日に開幕し、26日まで行われる。

 団旗を受け取った、旗手を務める小倉涼(左)と松元卓巳(右)
「100年を迎える記念すべき大会が、日本で開催されることをとても嬉しく思う。子どもたちに夢や感動を与えられるようなプレーをしたい」と抱負を語った松元
「私たちの活躍が少しでも多くの方に届き、誰もが生きやすい共生社会の実現につながれば嬉しい」と小椋
手話言語で、小倉は「東京」を、松元手は「デフリンピック」を表現

日本選手団の旗手には男子サッカーの松元卓巳(ゴールキーパー)と女子空手の小倉涼が選ばれた。オリンピックなどにならって主将は置かないため、チームのけん引役も期待される。男子サッカーは2023年ワールド杯準優勝などを経てデフリンピック初制覇を狙う。キャプテンとして代表を率いる松元は、「100年を迎える記念すべき大会が、日本で開催されることをとても嬉しく思う。旗手を務めるにあたり、覚悟と誇り、責任を持って日本選手団を引っ張っていけるように、プレーでもしっかりと発揮したい。子どもたちに夢や感動を与えられるようなプレーをしたい」と力強く抱負を語った。

小倉は前回大会で形と組手で2冠に輝き、東京大会では連覇を狙う。「国を代表するこの重みと誇りを胸に、正々堂々と旗を掲げ、選手団の思いを1つにして入場したい。自覚と責任をもって全力で戦う。私たちの活躍が少しでも多くの方に届き、誰もが生きやすい共生社会の実現につながれば嬉しい」と力を込めた。

デフリンピックはパラリンピックなどに比べ、まだ認知度が低いが、二人は東京大会開催の影響にも期待を寄せる。松元は、「きこえにくい、きこえない人たちの存在を知っていただくこと。そのために、我々選手は結果を出していきたい」と意気込み、ろうの子どもたちに向け、「きこえない、きこえにくくても(競技が)できることを我々が証明したいし、きこえる人たちと一緒にできる環境もつくっていけたら」と話した。

小倉は、「最近は挨拶など簡単な手話を覚えてくださるようになり、社会環境も変わってきている。デフリピックが手話に関心を持ったり、ろう者との付き合い方を学ぶ機会になってほしい」と思い描き、「きこえないからできないと思い込むのでなく、デフリンピックが子どもたちにとって挑戦するモチベーションにつながれば嬉しい」と期待した。

手話言語で「デフリンピック」を表す、左から日本選手団の太田陽介団長、小倉、松元、全日本ろうあ連盟の河原雅浩副理事長

選手団団長は同連盟スポーツ委員会の太田陽介委員長が務める。チームスローガン「燃えろ! ALL JAPAN!」も発表し、「きこえる人もきこえない人もすべて日本人として応援し、燃えていこうという言葉をつくった」と意図を説明。メダル目標には、前回の2022年カシアスドスル(ブラジル)大会で獲得し、史上最多だった30個を上回る、「31個以上」を掲げた。前回大会はコロナ禍で開催され、日本選手団は大会中に陽性者が増えたことから全競技で途中棄権したため、東京大会でのさらなる躍進が期待される。

また、選手団が開・閉会式などで着る公式ウエアもお披露目された。パリ2024オリンピック・パラリンピックで日本選手団が着用したアシックス社製のウエアと共通のデザインとなり、「TEAM JAPAN」のロゴが入っている。

会見に同席した日本障がい者サッカー連盟の北澤豪会長は、「(デフアスリートの)見ることへの集中力や見ることでの状況を読み取る力は、すべてのアスリートにとっても学びの機会になるのではないか」と話すとともに、東京大会を通して、「共生社会の実現が世界に向けたモデルケースになれるよう、頑張ってほしい」と選手たちにエールを送った。

多彩な観戦機会

会見に先立ち7月29日には観戦方法の概要が発表された。東京2025デフリンピックでは21競技が1都2県にわたる21会場で実施されるが、うち射撃をのぞく20競技が無料で観戦でき、事前申し込みの必要もない。会場ごとに座席数の制限はあるが、大会公式サイトで各会場の混雑情報も提供されるという。10月には同サイトで、会場情報や競技のスケジュール、見どころなどをまとめた「観戦ガイドブック」も公表される予定だ。

また、全競技はYoutubeでも配信される。全競技全日程が対象だが、基本的に定点固定カメラによる映像で、複数コートある会場では特定コートのみが撮影され、配信される。ただし、決勝戦は複数台のカメラで撮影し、競技解説が実施されるとともに、手話言語通訳や字幕による情報保障、も付加して配信される。

なお、ともに東京体育館(東京・渋谷区)で行われる開会式(15日)と閉会式(26日)は、事前に無料の入場チケットが必要だ。開幕100日前となる8月7日にはチケット申込方法など詳細が発表され、募集開始が予定されている。

文・写真/星野恭子



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