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  【ニューデリー2025世界パラ陸上:1日目】唐澤剣也が日本勢メダル第1号に。猛暑の中、二人のガイドとともにリベンジの金メダル!

【ニューデリー2025世界パラ陸上:1日目】唐澤剣也が日本勢メダル第1号に。猛暑の中、二人のガイドとともにリベンジの金メダル!

盛況だった東京世界陸上の熱気を受け継ぎ、“もう一つの世界陸上”であるパラスリートの祭典、「世界パラ陸上競技選手権大会」が9月27日、インド・ニューデリーで開幕した。107の国と地域から約1300人のトップアスリートが集い、10月5日までの9日間、186種目でメダルを競う。同選手権は12回目で、インドでは初開催。パラ競技単体の大会としては同国で過去最大の規模となる。

日本からは日本パラ陸上競技連盟が設定した派遣標準記録を突破した31選手(男子20、女子11)がエントリー。金を含むメダル10個の獲得を目指す日本チームは好スタートを切った。

レース前半、唐澤は右側を走る清水ガイドとともに2~3番手の好位置につけてメダルを狙った

T11(視覚障害)男子5000m決勝で唐澤剣也(SUBARU)が15分23秒38で、金メダルを獲得し、今大会日本勢メダル第1号となった。同選手権に2019年ドバイ大会から出場している唐澤は同種目では4大会連続でメダルを獲得している。金メダルは2大会ぶりで、日本チームを大いに勢いづけた。

レースには昨年のパリパラリンピックにも出場した8選手が出場。パリ大会の覇者、ブラジルのジュリオセザール・アグリピノドスサントスが号砲から先頭に立ちレースを引っ張るなか、パリ大会銀の唐澤は清水琢馬ガイドと2~3番手の位置に着けて前を追う。勝負どころは3000m手前だった。ペースが落ちだしたアグリピノドスサントスを唐澤が一気に追い抜きトップに立つ。8周目(3200m)を終えたところで、清水ガイドから堀越翔人ガイドに交替すると、さらにペースアップ。2位に入ったパリ銅のブラジル、エウチン・ジャクエスを5秒以上引き離し、歓喜のフィニッシュを駆け抜けた。なお、アグリピノドスサントスは唐澤に抜かれたのちに途中棄権。和田伸也(長瀬産業)は失格した。

レース展開について唐澤は、「暑いのでスローになるのではと想定して入ったが、予想通りでした。前半はいい位置で力を使わずに走ることができたので、堀越くんにつなぐ前に先頭に出ました。プラン通りに走れました」と会心のレースを振り返った。

昨年のパリパラリンピックでは、アグリピノドスサントスに3秒差で敗れての悔しい銀。銅のジャクエスとも約1秒半の僅差だった。「(二人とも)後半に強く、スピードのある選手なので、そこに対応できるようにスピード強化の練習や段階的に(ペースを)上げていけるような練習を取り入れました」と、リベンジにつなげた。

レースは朝9時台だったがすでに蒸し暑く、苦しむ選手も見られたが、唐澤は、「(地元である)群馬県も日本一の気温を叩き出している市町村もあります。あえて暑い時間帯を選んで練習してきました」と、快走への準備は万端だった。

レース後のコメントで唐澤は、「ガイドの2人がともに素晴らしいレースをしてくれました。後半は堀越くんがしっかりペースを維持しながら、うまく引いたくれました。(前半の)清水くんも心強い存在で、今大会に臨むにあたっても不安なく臨めたのは彼のおかげです」と両ガイドに感謝した。

清水ガイドは2021年春頃から唐澤のガイドを始め、昨年のパリ大会に出場した。「銀メダルという悔しい結果だったので、(唐澤さんは)1年間、すごい必死になって練習してきたと思います。今年6月に(今大会の)ガイドを依頼されたとき、やるからには金メダルを獲らせることを目標にしてきました。唐澤さんがその通りの走りをしてくれました」と称えた。清水も冷静に戦況を読み、プラン通りの展開をアシストした。

8周目(3200m)を終えたところで堀越ガイド(左)にチェンジ。さらにペースアップして後続選手を引き離し、見事に金メダルフィニッシュ!

堀越ガイドは今年春から唐澤の伴走を務めたばかり。この日が初の国際大会だった。順天堂大学4年だった昨年末、唐澤から声をかけられた際、「興味がある」とガイドになることを快諾。実は当時、箱根駅伝出場後に現役を引退し、卒業後は内定先に就職するつもりだったが一転、今年4月に唐澤の所属先であるSUBARUに「ガイドランナー」として新卒採用された。

初の大舞台にも落ち着いた走りで好結果をアシストした堀越は、「前半、(唐澤と清水ガイドが)いい流れを作ってくれました。予定通り先頭で持ってくるということで、僕もしっかり準備をしていましたが、実際に先頭で来たので、とても走りやすかったです」と笑顔。手応えをさらなる進化につなげていく。

清水ガイド(左)とは共にパリで悔しい銀を経験した間柄。初の国際大会で伴走した堀越ガイド(右)も含めた3人で抜群のチームワークを発揮し、見事にパリの雪辱を果たした

なお、唐澤は1500mにもエントリーしており、9月29日午後に予選、同30日に決勝が予定されている。「中1日しかありませんが、しっかり準備したいです」。この種目でも23年大会の銀以来、2大会ぶりのメダル獲得に期待がかかる。

<ニューデリー2025世界パラ陸上競技選手権大会>

日本パラ陸上競技連盟HP: https://para-ath.org/new_delhi_world_para_2025

 (日本代表選手情報や競技スケジュールなど)

ライブ配信チャンネル: https://www.youtube.com/@paralympics/streams?app=desktop

 (インドとの時差: 日本時間の―3時間半)

取材・文/星野恭子 写真/吉村もと



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