
【ニューデリー2025世界パラ陸上:5日目】日本勢がメダルラッシュ! 車いす400mで表彰台を独占。走り幅跳びで福永凌太が銀
大会中日となる10月1日、日本チームはメダルラッシュに沸いた。
T52(車いす)男子400m決勝で、佐藤友祈(モリサワ)が大会記録にあと100分2秒に迫る54秒21の好タイムで金メダルを獲得した。また、上与那原寛和(SMBC日興証券)が59秒55で2位、伊藤智也(バイエル薬品)が0秒11差の3位に入り、日本の3選手が金銀銅メダルを独占。さらに、T13(視覚障害)男子走り幅跳びで、福永凌太(日本体育大学)が2回目にマークした7m04(+0.4)で銀メダルを獲得した。
これで、日本チームの獲得メダル数は合計7個(金3、銀3、銅1)となり、大会前に掲げた、「金1個を含む10個獲得」のチーム目標達成に向け、大きく前進した。


三冠を狙う佐藤がぶっちぎりの金メダル

T52男子400m決勝には予選を突破した8選手が出場したが、前日の予選タイムでも佐藤が全体1位、伊藤が同2位、上与那原が同3位と日本勢が上位を独占していた。決勝では号砲から佐藤が飛び出し、トップを独走。後続を5秒以上も引き離してフィニッシュした。
「目標としていたのは52秒台を出して自己ベスト更新だったので、届かずに残念。でも、しっかり勝ち切ることができてよかったです。インド入り直前に背中を痛めたのですが、トレーナーさんたちのおかげで痛みを持ち越さず、昨日の予選でも、ある程度余力を残した状態でゴールできました」
52秒台を狙って「前半突っ込みすぎた」ことで、ラスト100mは「少しバテた」そうだが、「突っ込んでいたからこそ、タイムをまとめることができました」と前向きにとらえた。
佐藤はこのあと、100m(10月4日)、1500m(5日)にもエントリーしており、「どちらも金を狙って行きたいです」と意気込む。400mと1500mでの二冠は東京パラリンピックなど何度か達成しているが、100mは2022年頃から取り組み始めたばかり。パリパラリンピックの実施種目からT52の1500mが除外されたためで、まだ国際試合歴も少ない。そのため、「100mはこのメンツのなかで、自分がどこまで通用するかも気になっています」。初の三冠達成なるか、注目だ。

上与那原と伊藤は一人旅の佐藤を追いながら、互いに競り合うようにして最終コーナーに入り、それぞれラストスパート。
わずかに先着した上与那原は、「先輩(伊藤)を差し置いていけるとは思わず、銅メダルだと思っていましたが、こういう結果になって嬉しいです」。前日の予選で好感触を得ていたと言い、「全力で入って、後半に少し調整するというプランがうまくいって、(ラストも)減速せずにいけたのかな」と分析した。
上与那原はこのあと、最終日の1500m決勝に出場予定。「1つずつ、つながっていけばいいですね」と見据えた。
伊藤は、「昨日からこのトラックとは相性が悪くて、全然伸びてこなかったですね。残念でしたけど、メダルに届いたから、よかったです」。同じ3人での表彰台独占は、「2019年ドバイ大会の1500m以来ですね。気持ちいいもんですね」
伊藤はこの後、100m(4日)に出場予定で、より高みを目指す。
福永は、惜しくも銀


同日に行われたT13(視覚障害)男子走り幅跳び決勝で2位に入った福永は世界選手権デビュー戦だった2023年のパリ大会でも銀を獲得している。
1回目はファウルだったが、2回目で7m04をマークして全体トップに。しかし、スペインの選手が5回目に7m11と記録を伸ばし、福永を逆転。福永の6回目は6m81で、再逆転はならなかった。
福永は今季、走り幅跳びの初戦は6月のジャパンパラ競技大会(仙台市)で7m08を跳んで日本新記録を樹立して以来、2戦目が今大会だった。
「仙台で自己ベストを出した流れでここに来てしまったので、(今日は)正直、跳んでみないとどうなるかなと思っていました。でも、(仙台で)新しくつかんだ感覚を今日もしっかりとできたかなとは感じています。ファウルも多かった(1回目、3回目)ですが、アベレージもだいぶ上がってるかなと思いますし、助走もしっかりと感覚よく走れていたので、自分の技術の成長を感じた試合になりました」と手応えを語った。
一方で、4回目以降の試技では6m台がつづいて記録を伸ばせず、「まとめきれませんでした。もう少しうまく試合運びができたら」と反省も口にした。
福永はこの後、400m決勝(3日)にも出場予定だ。「いい形でまとめられるよう準備したいです」。パリパラリンピックでは銀メダルを獲得している種目で、世界選手権では2023年パリ大会以来となる頂点を目指す。
取材・文/星野恭子 写真/吉村もと
<ニューデリー2025世界パラ陸上競技選手権大会>
日本パラ陸上競技連盟HP: https://para-ath.org/new_delhi_world_para_2025
(日本代表選手情報や競技スケジュールなど)
ライブ配信チャンネル: https://www.youtube.com/@paralympics/streams?app=desktop
(インドとの時差: 日本時間の―3時間半)