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  【ニューデリー2025世界パラ陸上:8日目】戸田夏輝が1500mで、佐藤友祈が100mで、それぞれに意味ある銀メダル!

【ニューデリー2025世界パラ陸上:8日目】戸田夏輝が1500mで、佐藤友祈が100mで、それぞれに意味ある銀メダル!

ニューデリー2025世界パラ陸上競技選手権大会8日目となった10月4日、日本勢はさらに2つの銀メダルを積み上げた。

中距離に新星登場!

一つは戸田夏輝(NDソフト)がT20(知的障害)男子1500mで獲得。マークした3分52秒45は自己新記録であるともに、世界選手権デビュー戦でメダル獲得という快挙でもあった。

「初出場でここまで走れるとは思わなかったので、本当にうれしい。粘って走れました!」

スタート前には「元気玉」のポーズで気合を合入れた

新星登場を強く印象づけるレースだった。スタート前の選手紹介時には両手を上げながら空を仰ぎ見て、「元気玉(*)で気合を入れていた」という戸田。号砲から飛び出すと、先頭を独走。1000m手前で、徐々に追い上げてきた前回覇者のミカエル・ブラニガン(アメリカ)に抜かれたが、諦めずに前を追う。最後は大会新で連覇したブラニガンに約2秒遅れの2位でフィニッシュした。(*:漫画『ドラゴンボール』に登場する必殺技のひとつ)

最後まで粘り2位でフィニッシュした戸田

負けず嫌いだという戸田は、スタートから積極的に前に出て自分の走りを粘り強く貫くスタイルが持ち味だ。前日の予選でもスタイル通りの力強い走りを披露し、組1位全体2位で決勝に進んでいた。「とても緊張しましたが、安定して走れてよかったです」と大舞台デビュー戦でも持ち味をしっかりと発揮した。

世界選手権デビュー戦で、自己新記録を出して銀メダルという快挙。メダルセレモニーでは初々しい表情も見せた新星・戸田のこれからに期待大だ

2004年山形県生まれの戸田は、小学生時代から走ることが好きで、中学入学後、本格的に陸上競技を始めた。養護学校卒業後、2023年に地元の実業団チーム、NDソフトアスリートクラブに加入。多くのレースで上位に入るなど注目され始める。今年2月、自身初の海外レース、ドバイでのワールドパラアスレティックグランプリに出場し、1500mを4分02秒39で優勝する。日本パラ陸上競技連盟の2025年度ロスターゲットアスリートにも指定され、2028年のロサンゼルスパラリンピック初出場を目指している。

今大会に向けては距離を踏み、暑さ対策にも取り組み臨んでいたという。初の大舞台で獲得したメダルについて聞かれ、「これがスタート。これからもたくさんのメダルを獲れるように頑張りたいです」。さらなる進化と活躍を誓っていた。

なお、ともに決勝進出を果たした十川裕次(オムロン太陽)は9位(4分00秒45)、岩田悠希(KPMG)は10位(4分00秒81)だった。

佐藤友祈が自身2個目のメダル獲得

同日夕、T52(車いす)男子100m決勝も行われ、佐藤友祈(モリサワ)が17秒07(+0.8)で銀メダルを獲得した。

左から3人目が佐藤。スタートは良かったが、途中でハンドリムのキャッチミスをしてしまったという

5日目の400mにつづき金メダルを目指していた佐藤は、「負けました。いいスタートが切れたのですが、その後に(ハンドリムの)キャッチミスをしてしまいました。悔しいです」

午前中に行われた予選では、16秒79と好走して全体2位。同1位とはわずか0.01秒差で、「決勝は全然いけそう」と話していた佐藤。決勝ではスタートでフライングによる失格者が出て、「やり直しは初めての経験。短時間で気持ちを立て直すのが、正直しんどかったです」と明かした。

佐藤にとっては悔しさが残る銀メダルだった

それでも、序盤の出遅れにも諦めずに前を追い、「競り合いながらフィニッシュできたので、面白いレースはできたと思います。ロスパラ(リンピック)に向けてしっかり修正して、100mも400mも金を取ります!」と2冠宣言。

その前に、「もちろん優勝」と今大会最終日に行われる1500m決勝を制しての今大会2冠に向け、佐藤は絶対の自信を示していた。

競り合いのレースはおもしろかった、と佐藤。そんな気持ちがメダルセレモニーの笑顔につながったのかもしれない

なお、伊藤竜也(新日本工業)は予選全体7位で進んだ決勝で今季ベストとなる、17秒34をマークして5位入賞。伊藤智也(バイエル薬品)は予選で今季ベストの17秒74で走ったが、0.02秒差で全体9位となり、惜しくも決勝進出を逃した。

取材・文/星野恭子 写真/吉村もと



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