
GS優勝をめざして 大谷桃子【車いすテニス】(その1)
インターハイ出場経験を武器に車いすテニスで急成長
車いすテニスは、日本では人気の高いパラスポーツのひとつだろう。アテネパラリンピックのダブルスで金メダルを獲得し、北京、ロンドン大会のシングルスで2連覇した国枝慎吾を筆頭に、リオデジャネイロパラリンピックシングルスで銅メダルを獲得した上地結衣など、日本人選手が多数活躍する。テレビなどで彼らのプレーを見たことがあるという人は少なくないはずだ。
大谷桃子が車いすテニスを始めたのは、2016年の春。わずか1年で急成長を遂げている。
兄の影響で、小学3年の時に一般の硬式テニスを始めた。中学3年の時に関東エリアのジュニア選手権に出場し、栃木県の作新学院高校にスポーツ推薦で進学。高校3年の時にダブルスでインターハイに出場した経歴をもつ。
スポーツトレーナーを目指して専門学校に進学した矢先、病に倒れ薬の副作用で身体に麻痺が残った。右足は完全に麻痺し、右手の指も自由に動かすことができない。日常生活でも車いすを使用する。
右手の握力は6、7㎏程度。自力でラケットを握ることができないため、テーピングを施して固定させている。
本格的に始める半年ほど前に、一度だけイベントで車いすテニスを体験したことがある。
「でも、健常時代にテニスの経験があったから、もうただただもどかしくて」
だから、車いすテニスを継続するかはその時点では未定だった。それでも車いすで身体を動かしたい、何かスポーツをしたいという思いがあり、障がい者スポーツの指導者が多いという西九州大学に編入した。
(写真/吉村もと 取材・文/宮崎恵理)