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  人間の能力に限界はない 中森邦男さん

人間の能力に限界はない 中森邦男さん

「人間の能力に限界はない。これを感じてほしい」 日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会事務局長の中森邦男さんはパラスポーツの魅力について、このように説明する。パラアスリートは視覚障がい、四肢の欠損や麻痺といった身体障がいのため運動に限界がある選手たちだと思われがちだ。ところが、種目によってはオリンピック競技を上回る記録も誕生している。 ナショナルチームに選抜されるトップアスリートのパフォーマンスは、そうした先入観を吹き飛ばしてくれる。一般の健常者ではとうてい不可能な速さと力強さ、巧みさだ。 3 月に平昌冬季パラリンピックが開催されるが、日本におけるパラスポーツの源流は196年の東京パラリンピックに行き当たる。 「当時、パラリンピックに参加できる脊髄損傷者は護られるべき人で、スポーツなどの激しい運動は禁忌でした」 そのような時代だから旧文部省や日本体育協会は障がい者にスポーツを推奨できなかった。そこで医師などが中心となり64年の東京パラリンピックは準備された。その管轄は障害者福祉の旧厚生省だった。 「障がい者の社会参加や自立支援としてのスポーツでした。ヨーロッパなどの選手たちが強くなってくると、少しは選手強化の予算がつくようになってきたけれど、それもオリンピックと比べるとわずかでした」 それが現在のように競技スポーツ化するきっかけは、2011年に制定されたスポーツ基本法。このなかに障がい者スポーツの推進が明記された。その3年後、パラスポーツに関する政府の事業が厚生労働省から文部科学省へと移管された。このことにより、国の政策でも障害者福祉からスポーツとなった。 「オリンピックと一体の開催を目指しています。そのために協会や各競技団体も組織力を強化してきました。さらに選手強化ではオリンピックスポーツとの連携を進めています」 オリンピック選手強化で使用されていた、東京都北区西が丘にある国立スポーツ科学センターや味の素ナショナルトレーニングセンターがパラリンピックの強化選手にも開放された。「風洞実験室ではチェアスキーのカウルを開発しています」 その他、各競技に専任コーチや専任トレーナーに報酬を支払えるようになった。 「専任コーチは全競技合計で2015年に17名でした。それを3年間で50名に増やすことができました」 これまでは会社員、教員や団体職員などの仕事をしながらコーチやトレーナーをボランティアでしていた。それは世界レベルの選手強化をする時の課題だった。 国全体でパラスポーツ強化が進んでいる。日本パラリンピック委員会が掲げる東京夏季パラリンピックの目標は国別金メダル獲得数7位。リオパラリンピックでの0個から大躍進を目指している。 「平昌冬季パラの勢いを東京大会へつなげたい。冬季選手の活躍を期待しています」


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