
車いすバスケットボール「第50代王者」決定戦が1月31日開幕!
車いすバスケットボールのクラブチーム日本一決定戦、「天皇杯 第50回記念日本車いすバスケットボール選手権大会」が1月31日から2月2日まで3日間にわたり、東京体育館(東京都渋谷区)で開催される。
今大会は、1970年に7チームが参加した第1回大会から数え、50回目の節目となることから、例年の8チームから16チームに倍増して開催される。この16チームは全66チームがエントリーし、全国10ブロック別に行われた1次予選会の各優勝チームと、東日本・西日本エリア別の2次予選会でそれぞれ3位までに入った6チームだ。常連チームだけでなく、北海道から沖縄まで全国各地からチームが集い、頂点目指して激突する。
見どころは多い。まず、東京パラリンピックでも活躍した鳥海連志や古澤拓也など実力者を多数擁し、大会連覇中の神奈川VANGUARDS(関東ブロック)が3連覇を達成するかが注目される。もちろん、他の15チームにも頂点に立つチャンスは平等にあり、どの試合も見逃せない。
また、この天皇杯はパラリンピックなどの国際ルールとは異なり、男女混成で、障がいの有無に関わらず出場できる点が特徴だ。選手はそれぞれ、障がいの有無や程度に応じて「クラス」に分けられ、それを「持ち点」としてチームが構成される。公平性を考慮しながら、それぞれの強みを生かしたパラスポーツならではの、インクルーシブな試合であることも醍醐味だ。
さて、開幕1週間となった1月24日には記者会見が開かれ、出場16チームから3チームの代表選手3名が登壇し、大会の目標や意気込みなどを語った。冒頭写真左から、竹内厚志(ワールドバスケットボールクラブ)、丸山弘毅(神奈川VANGUARDS)、北風大雅(埼玉ライオンズ)。
神奈川VANGUARDSで、前回大会MVPにも選ばれた丸山弘毅は、「チームとして、神奈川らしいバスケを4試合貫き、3連覇を達成したい。そのために、3ポイント(シュート)とインサイドを使ったプレーなどオフェンス力を強化してきた。個人としても1年間、それに取り組んできた。1回戦からいいパフォーマンスをして、3連覇に貢献したい」と力を込めた。
西日本第2次予選会で優勝し出場権をつかんだワールドバスケットボールクラブ(東海北陸)の竹内厚志キャプテンは、「チームも1985年創立の40周年になる。4連覇していた時代もあるが、ここ20年以上優勝から離れているので、もう1度、強いワールドを取り戻したい。『ワールドという名は日本一でなく、世界一を目標に名付けた』と聞いている。(今大会で)通過点となる日本一になり、もっと上を目指したい」と意気込む。チームの選手数は昨年から5割増しの12人に増強した。率いる竹内は、「1点でも多く取るなど勝つためにやるべきことを全うしたい」と個人の目標も口にした。
東日本第2次予選会優勝チームの埼玉ライオンズ(関東)から北風大雅キャプテンも登壇した。ライオンズは昨年大会で、決勝戦の試合終了間際まで王者VANGUARDSをリードしていたが、逆転されての2位。「すごく悔しかった。チームは昨年から2選手が抜け、新たに2選手が入った。全員で基礎に立ち返ってフィジカル強化に取り組み、どのチームよりも走ってきた。それが自信になり、力になっている。(今大会で)しっかり発揮して、チーム初の日本一を取りたい。個人としてはキャプテンとしてパッションを常に出し、チームにエネルギーを与えられるよう全力でプレーしたい」と、決意を新たにしていた。
参加数が16チームに増えたことについては、「全国各地のチームを一堂に見てもらう機会になる」(丸山)といったポジティブな受け止めとともに、頂点に立つには3日間で最高4試合に勝ち続けなければならないため、「試合数が増えるのは楽しみだが、きつい。総力戦で頑張らないといけない」(竹内)と気を引き締める声も。さらに、「1回戦は普段あまり対戦機会のないチームが相手。情報が少なく、難しい試合になる」(北風)など、例年とは違う大会であり、特別な緊張感があることを伺わせた。
「チーム内から一人、『注目してほしい選手』を挙げるとしたら?」という質問に対しては、チームそれぞれの雰囲気を感じさせる答えが返ってきた。丸山は、「前田柊キャプテン」を挙げた。競技歴は5年とチームでは最も浅いが、クラス1.5のローポインターながらスピードがあり、攻守にわたってハイポインターを活かすプレーでチームへの貢献度が高いという。丸山は、「スタッツに残らないが、得点シーン以外のところで活躍してくれる。彼がいることで、チームの武器であるトランジションバスケが成り立っている」と話した。
竹内が挙げたのは、競技歴約40年で日本代表歴もあるベテランの大島朋彦(クラス4.0)だ。高さを生かしたディフェンスを強みとし、特に相手選手の後方からボールだけをさっと奪うプレーが得意だという。熊が川で鮭を狩る姿に似ていることから、「チームでは、『鮭狩り』と呼んでいる。そのプレーが出るとチームも盛り上がる。その瞬間を見てほしい」と、笑顔でアピールした。
北風は、チームで唯一の女子選手、財満いずみ(クラス1.0W)を挙げた。パリパラリンピック女子日本代表でも活躍した選手だが、「男子の中に混ざって出るのはハードだと思う。でも、一人で男性のハイポインターを止める守備力がある。また、ハーフコートオフェンスでもインサイドにカットインするプレーが上手い」と紹介。シューターを陰でアシストする財満の「忍者のような動きにも注目してほしい」と話した。
年に1度の頂上決戦。その「第50代王者」となり、歴史に名を刻むはどのチームか? 1月31日の開幕に向け、現在、観戦チケットが好評発売中。また、1回戦から決勝戦まで全16試合がYoutube配信されることも決定した。車いすバスケットボール史に残る見逃せない戦いをぜひ!
<天皇杯 第50回記念日本車いすバスケットボール選手権大会>
・2025年1月31日(金)~2月2日
・東京体育館(東京都渋谷区)
▼試合日程・組み合わせ
▼チケット販売情報
▼Youtube配信
日本車いすバスケットボール連盟公式YouTubeチャンネルで、全16試合を映像配信
2月2日の決勝戦には、楽曲を制作したアーティスト、GASHIMA from WHITE JAMがハーフ
タイムショーに出演!
▼主な会場イベント
・チーム・選手紹介コーナー
・チームグッズ販売ブース(7チーム)
・50回記念大会Tシャツ販売(数量限定)
・車いすバスケットボール体験会/3x3体験会
文/星野恭子