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パラスポーツマガジンの最新ニュース
- 「第23回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」21チームの出場が決定!
「第23回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」21チームの出場が決定!
- 2025年10月から2026年1月にわたって開催される「第23回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」の出場チームおよび予選グループリーグの組み合わせ・試合スケジュールが発表された。出場チーム数は21。組み合わせなどは下記のとおり。 ●予選ラウンド<成田会場:重兵衛スポーツフィールド中台球技場>10月18日(土)、19日(日)・グループA:ファンタス千葉SSC 松戸ウォーリアーズ、埼玉T.Wings、たまハッサーズ、大阪ダイバンズ・グループB:コルジャ仙台、乃木坂ナイツ、新潟フェニックスファイヤーズ、琉球Agachi・グループC:free bird mejirodai、スフィーダ世田谷BFC、松本山雅B.F.C.、FCコレチーボ静岡 <葛飾会場:東新小岩運動場陸上競技場>10月25日(土)、26日(日)・グループD:Avanzareつくば、品川CC パペレシアル、オガルリーブレ山梨、ミカーレ岐阜・グループE:ナマーラ北海道、ソイエ葛飾、buen cambio yokohama、A-pfeile広島BFC、ラッキーストライカーズ福岡 ●準決勝ラウンド(出場8チーム)2026年1月17日(土)、18日(日)会場:サーラグリーンフィールド(浜北平口サッカー場/静岡県浜松市) ●FINALラウンド(決勝戦、3位決定戦)2026年1月31日(土)会場:町田市立総合体育館(東京都町田市)
- 「LIGA.i 」ブラインドサッカートップリーグ2025が開幕!
「LIGA.i 」ブラインドサッカートップリーグ2025が開幕!
- ブラインドサッカーの国内トップのリーグ戦「LIGA.i(リーガアイ)」が8月2日、品川区立総合体育館(東京・品川区)で開幕した。リーグ創設から4季目を迎えた今季、第1節の「Sinagawa LIGA.i ブラインドサッカートップリーグ2025」には、品川CCパペレシアル、free bird mejirodai、埼玉T.Wings、buen cambio yokohamaというお馴染みの4チームが参加、初戦から激しい試合が展開された。 LIGA.iは2022年に「一つ先の新リーグ」としてスタート。約30のクラブチームが活動するなか、競技実績やチーム運営などの評価基準をクリアしたチームだけが出場できる。これまで上記4チームが連続出場を果たしているが、過去3回は毎年優勝チームが入れ変わるなど、1点を争う実力拮抗の試合が連続し、年々人気を高めてきた。今季からは新たにPK戦が導入されて引き分けがなくなり、PK戦勝利チームは勝ち点2を得るなど勝ち点制度も変更された。混戦必至の変更により、全3節の最終試合まで優勝シャーレの行方がわからない白熱の戦いが予想される。 復帰戦の丹羽海斗が豪快シュート!昨季2位のfree bird mejirodaiが暫定首位に 横浜の選手に囲まれながら、ドリブル突破を試みる目白台の大元壮(中央) そんななか、重要な初戦で勝利し、勝ち点3を手にしたのは、一昨年王者で昨季2位の目白台だ。第2試合で今季初優勝を目指す横浜を1対0で下した。前半11分、目白台が得た左コーナーキックから園部優月が絶妙なクロスボールを放ち、ゴール前で待ち構えた丹羽海斗がダイレクトで振り抜いて横浜ゴールに突き刺した。会場をどよめかす決勝弾だった。 Player of the Matchも受賞した丹羽は、「いろいろな形の練習をしているなか、チームでやってきたこと(の一つ)でした。それを試合の中で1番いい形で出せたのかなということで、自分を素直に褒めてあげたいです」と笑顔。「でも、仲間と一緒に練習してきて今がある。実はボールの移動中にガイドの鈴木(仰)さんが『ダイレクト!』って言ってくれたんです。その声があって、後押しされて、『よし、これは狙いにいくしかない』って、そうしたら、成功しました。本当に文字通り、チームのみんなで取った点。僕1人だったら決断できなかなかったかもしれないです」と仲間たちにも感謝した。 Player-of-the-Matchを受賞した丹羽海斗(中央) 丹羽はいつにも増して嬉しそうだった。実は、約2年前に左ひざの後十字靭帯を損傷し、再建手術を受けていた。「フルパワーで復帰できたのは2年越し」で、久しぶりのLIGA.i出場を前に、「今週はずっと緊張していて、今日もすごく朝早く目覚めてしまいました。ずっとストレッチしたり、どうしようと思っていたんですけど、試合に入ったら、チームのみんなと一緒に試合できるのが本当に楽しくて……。ケガの間支えてくれたチームメイトや、何よりも家族にありがとうございますと伝えたいです。復活できてよかったです」とかみしめた。 リハビリ期間中も丹羽は車いすなどで大会会場を訪れ、チームを応援したり、時には観客に試合解説を行うなど精力的だった。「外から試合を見るなかで、改めて客観的な視点を持てた」と振り返るとともに、「解説をする中でお客様とお話する機会をいただき、こんなに応援してくれている方がいるんだとわかりました。また、『初めて見たけど、解説が面白くてわかりやすかった』という声もいただいて、もっといいプレーをして、ファンを増やせるように頑張ろうというモチベーションにつながっています」と力を込めた。休んでいた間、チームは初優勝を果たすなど好調で、後輩たちの成長もあり、丹羽は「復活しても、もう自分の居場所はないんじゃないか」と不安も感じていたという。それでも、「チームの成長はポジティブな部分。誰が出ても戦えるというチームに、どんどんなってきているかなと思います。これからもっと(層を)厚くして、みんなで切磋琢磨して強いチームになれたらいい」と力を込めた。 目白台の山本夏幹監督は丹羽の活躍を、「素晴らしいシュートでした。チームとして約束を決めていましたが、練習通りに彼がしっかり出した結果」と評価。さらに、登録したフィールドプレーヤー全員が出場し、役割を果たしての勝利に、「大ケガから復帰した彼や、(若手の大元)壮くんとか、これからの選手たちにとっての大事な大会にしたいというのがチームとしての位置付けだったので、もう完璧でしたね」とチームも称えた。 目白台は日本代表経験者や強化指定選手などを多数擁し、層の厚さという意味ではリーグトップクラスだが、山本監督は、「(ケガなどなく)全員が揃うのは久しぶり。メンバーを選べるような状況にまできているのは非常にありがたいです」と目を細めた。目白台は王者奪還へ最高のスタートを切ったようだ。 目白台の守備を交わし、味方へのパスを繰り出す横浜の齊藤悠希(右) 一方、惜敗した横浜のキャプテン、齊藤悠希は「結果的には悔しい」と振り返ったが、手応えも口にした。昨季まではレギュラー4人主体のチームだったが、今季は短時間ながら控え2選手が出場を果たし、強烈なシュートなど今後の可能性を感じさせるプレーも見せた。「いい経験になったと思うし、逆にレギュラーには『安心してたら出られなくなる』という刺激になったと思います」と振り返った。また、「これまではボコボコにされる場面もありましたが、今回は『戦えている』という自信が感じられ、それが後半、いい動きに変わっていきました。ハーフタイムにみんながプレーについて意見を言い合うのは今までになかったこと。チームの意識が変わってきているようです」とメンバーの成長にも触れた。初優勝に向け、チーム一丸での巻き返しに期待したい。 歴代王者同士による第1試合。劇的展開でPK決着 埼玉ゴールに何度も迫った品川の森田翼(右) コーナーキックのチャンスからゴールを狙う埼玉の菊島宙(右) 新レギュレーションが今季開幕戦から効力を発揮した。昨季王者の品川と初代王者の埼玉が互いに2回目の優勝を目指し、キックオフから果敢にゴールを狙って激しい攻防を展開。“ホームチーム”の品川がサポーターの熱いエールも後押しに、日本代表主将の川村怜や森田翼らが積極的にゴール前に侵入。一方、埼玉もエース、菊島宙を軸に多彩な攻撃を見せたが、両者とも守り切り、前後半を終えて0対0。大会初のPK戦へと突入した。 Player-of-the-Matchを受賞した佐々木ロベルト泉。PK戦で品川の1点目を決めた 国際ルールと同じ3人制のPK戦は、品川の先攻で始まった。まず埼玉一人目の菊島が決めてリードしたが、3人目で品川の佐々木ロベルト泉が入れ返し、勝負はサドンデスへ。5人目で品川の寺西一が決めたのに対し、埼玉は決めきれず、品川がPK2対1で勝利をつかんだ。新レギュレーションにより、品川が勝ち点2を、埼玉が勝ち点1を得た。Player of the Matchには攻守にわたって体を張ったプレーを披露し、PK戦でも活躍した品川の佐々木が受賞した。 今季は連覇に挑む品川の川村は、「相手の守備の強度も上がっていて、難しい試合でした」と振り返り、小島雄登監督は、「PKに行く前に決めたかったのが正直なところ。勝ち点3がほしかったです」と悔しさものぞかせた。川村や佐々木などベテラン勢に加え、森田翼や井上流衣もゴール前でいい動きを見せた点は、「ゲームを有利に進められた」と評価しつつ、「最後のフィニッシュが課題」と今後への修正点も口にした。 埼玉の菊島は「チームとして最初の5分でどんどん前から攻めていこうっていうのは決めていました。相手のポジショニングがうまくて、どこに行っても1人はいました」と悔しさをのぞかせた。菊島充監督は、「PKで勝てると思ったので惜しかったです。でも、面白い試合はできたと思います」とチームの健闘を称えた。今季は成長株の晴眼選手、山中優太や助川裕太郎で「点を取る試合をしたい」と目標を掲げた。 敗れはしたが、PK戦導入について菊池監督は、「最高のルール変更。リーグが盛り上がることが大事」と前向きに受け止める。一方、PK戦で勝ち点2を獲得した小島監督は、終盤の0対0の局面で、「点を取りに行くのか、勝ち点2を狙うのかなど、最後の判断は難しかった」と昨季とは異なる指揮官の胸の内を明かした。 目白台の山本監督はPK戦導入で大会が面白くなることは認めつつ、「うちとしては避けたい。やっぱり流れで(勝利を)決めたいです」と話し、横浜の齊藤は、「最初からPK戦を狙うチームはないと思いますが、引き分けの先にもう1個あるのはいいことですね」と、勝ち点1が2になる可能性を歓迎した。 新たな勝ち点制度がチーム事情や思惑も加味した戦術選択にも影響を及ぼすとすれば、観客にとっても観るポイントが増え、より興味深く観戦できそうだ。 今季はもう一つ運営上で変更があった。「1節2試合」が基本フォーマットのLIGA.i、はこれまで2試合を通して観戦できる1日券が販売されていたが、今季から入れ替え制となり、1試合ごとにチケットが必要となった。この結果、この日の2試合とも各チームのサポーターらでスタンドは埋まり、この会場としては過去最多となる857名の観客数を記録した。より熱のこもった声援が選手たちに送られ、会場の雰囲気もよかった。 新レギュレーション導入により過去にない展開も注目されるLIGA.i 2025は、この先、第2節は12月7日にフクシ・エンタープライズ墨田フィールド(東京・墨田区)で、最終節は来年2月23日に横浜武道館(横浜市)で、開催が予定されている。 文・写真/星野恭子
- TEAM JAPANが発進!東京2025デフリンピックへ
TEAM JAPANが発進!東京2025デフリンピックへ
- 11月に日本で初開催されるきこえない・きこえにくいアスリートの世界最高峰の大会、「東京2025デフリンピック」に向け、主催する全日本ろうあ連盟は7月31日、東京都内で会見を開き、日本代表選手団を発表した。選手は史上最多となる273人(男子160人、女子113人)で、実施される全21競技に参加予定だ。 デフリンピックは1924年のパリ大会から始まり、オリンピックやパラリンピック同様、4年に1回、夏季と冬季に開催されている。東京大会は25回目の夏季大会であり、大会創設100周年の記念大会でもある。世界70~80の国・地域から約3000人の選手が参加予定で、会場は東京都内を中心に福島県(サッカー)、静岡県(自転車)の1都2県に広がる。11月15日に開幕し、26日まで行われる。 団旗を受け取った、旗手を務める小倉涼(左)と松元卓巳(右) 「100年を迎える記念すべき大会が、日本で開催されることをとても嬉しく思う。子どもたちに夢や感動を与えられるようなプレーをしたい」と抱負を語った松元 「私たちの活躍が少しでも多くの方に届き、誰もが生きやすい共生社会の実現につながれば嬉しい」と小椋 手話言語で、小倉は「東京」を、松元手は「デフリンピック」を表現 日本選手団の旗手には男子サッカーの松元卓巳(ゴールキーパー)と女子空手の小倉涼が選ばれた。オリンピックなどにならって主将は置かないため、チームのけん引役も期待される。男子サッカーは2023年ワールド杯準優勝などを経てデフリンピック初制覇を狙う。キャプテンとして代表を率いる松元は、「100年を迎える記念すべき大会が、日本で開催されることをとても嬉しく思う。旗手を務めるにあたり、覚悟と誇り、責任を持って日本選手団を引っ張っていけるように、プレーでもしっかりと発揮したい。子どもたちに夢や感動を与えられるようなプレーをしたい」と力強く抱負を語った。 小倉は前回大会で形と組手で2冠に輝き、東京大会では連覇を狙う。「国を代表するこの重みと誇りを胸に、正々堂々と旗を掲げ、選手団の思いを1つにして入場したい。自覚と責任をもって全力で戦う。私たちの活躍が少しでも多くの方に届き、誰もが生きやすい共生社会の実現につながれば嬉しい」と力を込めた。 デフリンピックはパラリンピックなどに比べ、まだ認知度が低いが、二人は東京大会開催の影響にも期待を寄せる。松元は、「きこえにくい、きこえない人たちの存在を知っていただくこと。そのために、我々選手は結果を出していきたい」と意気込み、ろうの子どもたちに向け、「きこえない、きこえにくくても(競技が)できることを我々が証明したいし、きこえる人たちと一緒にできる環境もつくっていけたら」と話した。 小倉は、「最近は挨拶など簡単な手話を覚えてくださるようになり、社会環境も変わってきている。デフリピックが手話に関心を持ったり、ろう者との付き合い方を学ぶ機会になってほしい」と思い描き、「きこえないからできないと思い込むのでなく、デフリンピックが子どもたちにとって挑戦するモチベーションにつながれば嬉しい」と期待した。 手話言語で「デフリンピック」を表す、左から日本選手団の太田陽介団長、小倉、松元、全日本ろうあ連盟の河原雅浩副理事長 選手団団長は同連盟スポーツ委員会の太田陽介委員長が務める。チームスローガン「燃えろ! ALL JAPAN!」も発表し、「きこえる人もきこえない人もすべて日本人として応援し、燃えていこうという言葉をつくった」と意図を説明。メダル目標には、前回の2022年カシアスドスル(ブラジル)大会で獲得し、史上最多だった30個を上回る、「31個以上」を掲げた。前回大会はコロナ禍で開催され、日本選手団は大会中に陽性者が増えたことから全競技で途中棄権したため、東京大会でのさらなる躍進が期待される。 また、選手団が開・閉会式などで着る公式ウエアもお披露目された。パリ2024オリンピック・パラリンピックで日本選手団が着用したアシックス社製のウエアと共通のデザインとなり、「TEAM JAPAN」のロゴが入っている。 会見に同席した日本障がい者サッカー連盟の北澤豪会長は、「(デフアスリートの)見ることへの集中力や見ることでの状況を読み取る力は、すべてのアスリートにとっても学びの機会になるのではないか」と話すとともに、東京大会を通して、「共生社会の実現が世界に向けたモデルケースになれるよう、頑張ってほしい」と選手たちにエールを送った。 多彩な観戦機会 会見に先立ち7月29日には観戦方法の概要が発表された。東京2025デフリンピックでは21競技が1都2県にわたる21会場で実施されるが、うち射撃をのぞく20競技が無料で観戦でき、事前申し込みの必要もない。会場ごとに座席数の制限はあるが、大会公式サイトで各会場の混雑情報も提供されるという。10月には同サイトで、会場情報や競技のスケジュール、見どころなどをまとめた「観戦ガイドブック」も公表される予定だ。 また、全競技はYoutubeでも配信される。全競技全日程が対象だが、基本的に定点固定カメラによる映像で、複数コートある会場では特定コートのみが撮影され、配信される。ただし、決勝戦は複数台のカメラで撮影し、競技解説が実施されるとともに、手話言語通訳や字幕による情報保障、も付加して配信される。 なお、ともに東京体育館(東京・渋谷区)で行われる開会式(15日)と閉会式(26日)は、事前に無料の入場チケットが必要だ。開幕100日前となる8月7日にはチケット申込方法など詳細が発表され、募集開始が予定されている。 文・写真/星野恭子
- 日本が決勝で韓国を破って優勝! ジャパンパラ車いすラグビー競技大会
日本が決勝で韓国を破って優勝! ジャパンパラ車いすラグビー競技大会
- 7月24日〜26日、愛知県刈谷市にあるウイングアリーナ刈谷で、「日本パラスポーツ協会設立60周年記念大会 ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」が開催された。 韓国とニュージーランドの代表チームを招いて行われた「ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」 ウイングアリーナ刈谷は、来年開催される「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」の車いすラグビー会場。これまで車いすラグビーの国際大会会場は、東京や千葉など関東圏が中心だったが、今大会は初めて愛知県で行われ、愛知・東海エリアの車いすラグビーファンにとっては、地元でライブ観戦できる初のチャンスとなった。 今大会は、韓国とニュージーランドの代表チームを招いて開催された。パリ2024パラリンピックで悲願の金メダルを獲得した日本は、初日、1試合目のニュージーランド戦を52対36で圧勝。続く韓国戦は、第3ピリオドまで韓国に1点のリードを許すハラハラ・ドキドキのシーソーゲームとなったものの、最終第4ピリオドで日本のディフェンスが韓国のミスを誘い47対42で逆転勝利した。 2日目もニュージーランド、韓国と対戦して勝利した日本は、全勝で最終日の決勝戦に進出。ニュージーランドとの試合に勝利した予選2位の韓国と対戦した。韓国とは初日は第4ピリオドで逆転勝利。2日目は日本が終始リードしていたものの、前半終了時には2点差に迫られていた。韓国には、福岡ダンデライオンでプレーしているパク・スンチョル、ウチョル兄弟、フィジカルに優れたリ・ソンヒーがいる。日本の戦い方を理解し、パワーと連携のうまさで日本を追い上げていた。 決勝戦の日本の先発メンバーは、橋本勝也、白川楓也、小川仁士、長谷川勇基の4人。前日まで長谷川は体調不良で欠場していた。とはいえ、この4人は、昨年パリパラリンピックで金メダルを獲得した時に出場していたメダリストメンバーだ。 第1ピリオドでは15対11とリードしていたが、第2ピリオドでわずかなミスを誘われ、26対26の同点で折り返す。しかし、その後は再び固い守備からトライライン付近に走るローポインターへのロングパスが何度も成功し、56対49で完全優勝を遂げた。 日本のエース橋本勝也 白川楓也 小川仁士 長谷川勇基 また、最終日の第1試合はエキジビションゲームとして行われ、予選3位のニュージーランドが、Japan Exhibition Teamと対戦。42対38でニュージーランドが勝利した。 最終日に行われたJapan Exhibition Team対ニュージーランド 来年のアジアパラ、その先のロスアンゼルスを目指して若手が経験を積む 今大会は、若手選手を中心にしたメンバー構成で、決勝戦で先発した4人のほか、若山英史、草場龍治を含めた6人が、パリ経験組。メンバーの半分はフレッシュな選手である。長谷川が体調不良だった2日間、唯一の0.5点選手として出場した川口健太郎は今年のシブヤカップから日本代表に選出されている。21歳の時にサーフィンの事故で頸髄を損傷したが、1年後には車いすラグビーを始めたという26歳。リーチの長さが188cmと、今大会メンバー最長を誇り、腕の長さも活用して相手選手のパスや行手を阻んでいた。 注目の若手の一人、川口健太郎。長いリーチを活かしたプレーを得意とする 今年11月にはタイ・バンコクで来年の世界選手権出場を見据えたアジアオセアニア選手権が開催される。そして来年10月には、今大会と同じ会場で開催されるアジアパラ競技大会も控えている。韓国は、今後、アジアにおける日本のライバルとして立ちはだかってくるはずだ。その前哨戦であるジャパンパラ競技大会、日本代表は、猛暑以上の熱い戦いで大会を締め括った。 取材・文/宮崎恵理 写真/吉村もと
- 東京2025デフリンピックを前に、代表内定選手たちが国立競技場で躍動!
東京2025デフリンピックを前に、代表内定選手たちが国立競技場で躍動!
- 日本陸上競技選手権にデフアスリートが出場! 7月4日から6日に国立競技場(東京・新宿区)で開催された「第109回日本陸上競技選手権大会」で、東京大会日本代表に内定している選手などデフアスリートが出場した。開幕まで約4カ月となった東京2025デフリンピックやデフ陸上をPRした。 9月の「世界陸上」の代表選考会も兼ねた大会で、連日、1万人以上のファンが見守るなか、最終日にオープン種目として実施されたデフ男子100mには4選手が出場。東京2025大会で初代表に内定している荒谷太智(東海大学)が11秒18(-0.4)で制した。 「今年、世界陸上(9月)が開催される同じ会場で、緊張感がある中で走れたのは、いい経験になりました。日本選手権というお客さんが非常に多い状況の中で、デフの存在をアピールできて、すごくいい機会をいただいたと思います」 今大会は自己ベスト(11秒12)には届かなかったが、シーズンベストの走りを披露した荒谷。東京2025大会では400mに出場予定で、「スピードを強化中。11月のデフリンピックにピークを合わせたい」と前を見据えた。 11秒22で2位に入ったのは、足立祥史(松江市陸協)だ。昨年、台湾で開催された世界デフ陸上競技選手権大会で、4x100mリレー(金)と4x400mリレー(銀)でメダル獲得に貢献し、初のデフリンピックとなる東京2025大会でも活躍が期待されている。 「憧れの国立(競技場)で走れたのはすごくよかったです。雰囲気に飲み込まれないように、しっかりと自分の試合に集中できたことは収穫。スタートランプや手話通訳士がいるといったデフ陸上の特徴も観客の皆さんにアピールできたと思います」 今後はスタートからの加速をさらに強化し、「デフリンピック本番でもリレーメンバー4人に入れるように、しっかり記録を出してアピールしたい」と意気込んだ。 一方、女子100mは2選手が欠場したが、一人出場した門脇翠(東京パワーテクノロジー)が13秒72(-0.3)で駆け抜けた。「せっかく実施していただいたので、一人でも走ろうと思いました。国立で走る機会はなかなかないので、感謝の気持ちでいっぱいでした」 門脇は2013年サムスン(トルコ)大会以来、2大会目となる東京2025大会でリレーメンバーとして代表入りを果たした。「個人種目で選ばれず悔しかったですが、今は気持ちを新たに、本番で走れるように練習を頑張っています」と笑顔を見せた。 リレーではとくに「バトンパス」が重要だが、デフ選手の場合、掛け声でタイミングを合わせることは難しく、何度も練習を繰り返してチームワークを高めなければならない。練習時に撮影した動画を持ち帰り、イメージトレーニングも欠かせないという。競技歴約20年のベテランは、「メンバーには国際大会も初めての若手選手もいるので、(デフリンピックを)楽しめるように、積極的にコミュニケーションをとりたい」と力を込めた。 男子800mは2選手が出場し、樋口光盛(SMDE)が自身のもつデフ日本記録(1分53秒11)に迫る1分54秒49の好タイムで優勝した。東京2025大会は800mと1500mで初の代表に内定している。「(高温多湿で)不安はありましたが、会場の応援の力を借りて走ることができ、最低限55秒を切れてよかったです」 陸上競技は中学から大学まで部活動で取り組み、社会人になって以降も、縁あって健聴の大学生らと切磋琢磨しながら力を伸ばしている。ランナーとしての強みは「集団の中での位置取り」と言い、デフリンピックでは、「ラスト100mからの競り合いで金メダルを獲るところを見てほしい」とアピールした。 そんな樋口が自身のレース前に、「刺激をもらった」というデフアスリートがいる。大会初日(4日)の男子円盤投で57m45を投げ、3位に食い込んだ湯上剛輝(トヨタ自動車)だ。樋口が、「障がいがあることを感じさせない」と話すように、幅広く活躍するアスリートだ。4月にはアメリカの大会で64m48をマークし、自身のもつデフ世界記録と同日本記録を塗り替えたが、同時に健常者も含めた日本記録も更新する快挙だった。このように一般の陸上競技でもトップレベルであり、5月のアジア選手権では60m38を投げ、この種目で日本勢34年ぶりとなる銀メダルを獲得している。 デフリンピックは初出場だった2017年サムスン(トルコ)大会で銀メダルを獲得したが、2022年カシアスドスル(ブラジル)大会はコロナ禍により選手団全体が途中棄権したため、出場できなかった。8年ぶりの大舞台となる東京大会では世界一のビッグスローに期待がかかる。 「スタートランプ」体験会も 大会期間中、競技場外周では日本デフ陸上競技協会が「機運醸成ブース」を出展。スタートランプ体験やデフアスリートとの交流などで、東京2025デフリンピックの開催をPRした。 デフ陸上競技のルールは一般の競技とほぼ同じだが、スタートのピストル音がきこえない・きこえにくいため、音でなく光を使ってスタートのタイミングを伝える「光刺激スタート発信装置」を使う点が大きな特徴だ。短距離用は通称「スタートランプ」と呼ばれる装置が、中・長距離用は立位スタイルでも見やすい高さに設置される「スタンドシグナル」が使われる。「赤(位置について)」→「黄(用意)」→「緑(スタート)」と、ランプの色が変化する。 PRブースでは、この「スタートランプ」が体験できる「2mチャレンジ」も実施され、多くの人が挑戦。デフアスリートのパフォーマンスを支える技術を知る機会になり、「デフリンピックも楽しみになった」という声も聞かれた。 なお、東京2025デフリンピックは今年11月15から26日までの全12日間にわたり全21競技が19会場で実施され、すべての競技を無料で観戦できる。陸上競技は17日から25日まで全9日間で、駒沢オリンピック公園陸上競技場を主会場に、20日に男女ハンマー投げが大井陸上競技場で、25日に男女マラソンが首都高速道路高速八重洲線の一部と東京高速道路(KK線)跡地の周回コースでの実施予定となっている。 文・写真/星野恭子
- 「ゴスペラーズ」がゴールボール日本代表の応援アンバサダーに就任!
「ゴスペラーズ」がゴールボール日本代表の応援アンバサダーに就任!
- ゴスペラーズのみなさん(後列)とゴールボール男女強化指定選手の面々。ゴスペラーズの首にはパリパラリンピックの金メダルが! 競技の楽しさ、すごさ、神秘を伝えていきたい 日本ゴールボール協会(JGBA)は6月30日、5人組男性ボーカルグループ「ゴスペラーズ」がゴールボール日本代表「オリオンJAPAN」の応援アンバサダーに就任したと発表した。事前に味の素ナショナルトレーニングセンターで行われた記念式典では、ゴールボール男女強化指定選手が見守る中、JGBA梶本美智子会長からゴスペラーズに任命状と記念盾が送られた。 ゴスペラーズリーダーの村上てつやさんは、「ゴールボールの観る楽しさややってみる楽しさを伝えて、競技に興味を持つきっかけを作れるように、我々で精一杯応援させてもらいたいです」と意気込みを語った。 今後は応援アンバサダーとして継続的な情報発信やイベント協力など音楽を通して応援していく。村上さんは、「オリオンJAPANの皆さんには、これからもいい結果を出していただきたい。僕らも選手のみなさんのモチベーションとなれるように歌いたいですし、機会があるごとに『ゴールボールというスポーツ、すごいよ、楽しいよ、神秘だよ』と伝えたいと思います」と力を込めた。 応援は東京2020大会から ゴスペラーズとゴールボールのつながりは、東京2020パラリンピックまでさかのぼる。たまたまメンバーの酒井雄二さんの目に留まり、SNSで「ゴールボール女子すごいね」と投稿。それを機にメンバーやファンの間などに認知が広まった。 さらに昨年9月のパリ2024大会で、注目度が一気に高まった。10年以上も前からゴスペラーズのファンである男子日本代表の萩原直輝が大会前にSNSで、ライブDVD特典だった靴紐を「パリに持参する」と投稿。それを見た他のゴスペラーズファンがSNSで拡散し、応援機運がさらに広がった。パリ大会期間中にはゴスペラーズのメンバーが毎試合、テレビなどで観戦しリアルタイムで応援メッセージを発信。男子の金メダル獲得の瞬間にも祝福のメッセージが発信され、大いに盛り上がった。 同11月にもゴスペラーズは、都内で開催されたJGBA30周年記念式典にサプライズで登場して歌唱し、選手たちを喜ばせた。ちなみに、ゴスペラーズにとっても昨年は、デビュー30年の節目だったという。 ゴールボール体験でより深まった興味 体験会に参加したゴスペラーズ 応援アンバサダー就任に先立ち、「実際に競技を体験してみたい」というゴスペラーズメンバーの声を受け、3月にはゴールボールの体験会が実施された。 まずは基礎トレーニングから 当日はまず、男女強化指定選手たちのサポートのもと、メンバーは基礎トレーニングからボールの投げ方や守備姿勢といった基礎技術の練習を行った。最後はアイシェード(目隠し)を着けて、ミニゲームにも挑戦した。 体験を終えて酒井さんは、「初めてゴールボールを目にした時は、座った状態からプレーが始まるので『体力的には少し楽かもしれない』と感じましたが、実際にはとても激しくて、汗だく。個人技だけでなく、チームとしての信頼関係や呼吸が非常に重要であることも体験を通じてわかり、『うまくなりたい』という気持ちが生まれました。ラウンドワンやスポッチャなどでできないかな」と、プレーする楽しさにも目覚めた様子。 黒沢薫さんは、「視覚を遮断した状態でのプレーは想像以上に難しく、改めて『選手は超人だ』と思ってしまったほど。体験を通して、選手の方々への尊敬の気持ちが増しました。すぐには思うようなプレーができない難しさと悔しさも感じ、ゴールボールには挑戦のしがいのある面白さがあることもわかりました」とコメント。 ゴールボールを体験する村上さん 村上さんは、「競技中、改めて『聴く力』と『信じる力』の重要性を実感しました。多くの人に会場でゴールボールを見てほしい。テレビで応援しているのとはスピード感が違います。審判が『クワイエット・プリーズ』と声を掛け、音がなくなったときの空気感や、選手の研ぎ澄まされていく感覚に観客席もシンクロしていく感じなど、いろいろ素晴らしい体験でした」と、ゴールボールの魅力を再発見していた。 「純粋に楽しいスポーツだと実感した」という安岡さん 安岡優さんは、「萩原選手が試合前にゴスペラーズの曲を聞いてテンションをあげてくれているというのをSNSで発信してくれて、パリのときはうちのファンも一丸となって応援していました。今日はゴールボールを初めて体験し、純粋に楽しいスポーツだなと実感しました。最初は何も見えない状況で動くことに戸惑いがありましたが、自分の中で『音を頼りに見えるようになる』感覚が芽生えた瞬間は、とても嬉しかったですね。『次はどんなボールがくるんだろう...!』というワクワク感がありました」と振り返った。 「言葉ではなく感覚で通じ合う高度なチームワークがあることがわかりました」と北山さん(左) 北山陽一さんは、「私たちも30年にわたって同じメンバーで活動をしてきて、音楽以外の場面でも、この人はこういう動き方するというクセをみんな把握しています。ゴールボールの選手の皆さんを見ていると、それと似たような、言葉ではなく感覚で通じ合う高度なチームワークがあることがわかりました。自分たちもなんとなくわかったつもりでいたコミュニケーションについて、もう一歩深いレベルがあると知ることができ、ライブにも生かせたらと思いました」と話した。 さらに村上さんは、「ゴールボールの会場は、観客が心も耳も音に集中しているから、アカペラにはいい環境かもしれないですね。歌わせてもらえる機会があるなら、僕らにとっても幸せな環境だと思います」と大会会場での歌唱による応援の可能性と期待も口にしていた。 ゲーム体験をする左から北山さん、黒澤さん、村上さん さらなる活躍を約束 ゴスペラーズの熱い応援は選手たちの背中を強く押した。萩原は体験会後、「率直に嬉しい。夢のような時間でした。途中からファンの顔を出してしまって、話したいのに話しかけられず、うろうろしてしまいました」と照れ笑いしつつ、「パリの時の応援も嬉しかったですが、パリ大会後の国内大会や体験会に、ファンの方たちが来てくれたのも嬉しかった。競技へのモチベーションになります」と感謝した。また、「ゴスペラーズの皆さんはサーチ(ボールの音を聴き取ること)がすぐにできていましたね」とメンバーの音感の良さにも感心していた。 金子和也キャプテンは、「パリの試合を全部見て応援してくださっていて嬉しかったですし、パリのプレーを見て、体験したいと思ってここまで足を運んでくださった。ゴールボールを知ろうと思ってくださっていることが嬉しいです」と感謝。宮食行次は、「これからも結果を出し続けて、常にゴスペラーズの皆さんをはじめ、多くの方から応援されるようなチームになっていきたいです」と決意を新たにしていた。 <ゴールボール今後の主な大会予定> 2025ジャパンパラゴールボール競技大会 (国際大会) 2025年10月2日(木)~4日(土)/豊橋市総合体育館 (愛知県豊橋市) Money Doctor 2025日本ゴールボール選手権大会 (クラブチーム日本一決定戦) 2025年11月22日(土)~23日(日)/所沢市民体育館 (埼玉県所沢市) 文・写真/星野恭子
- 悪天候の中、国内外から45選手が参戦。「第2回中部障害者オープンゴルフ選手権」
悪天候の中、国内外から45選手が参戦。「第2回中部障害者オープンゴルフ選手権」
- 6月10日、日本ラインゴルフ倶楽部(岐阜県可児市)にて、「第2回中部障害者オープンゴルフ選手権」が行われた。この大会は2003年に地方振興障害者ゴルフ大会として沖縄で始まった行事の一環で、九州、沖縄、中国、四国、北海道、東北、北陸と各地を回り、中部地方では昨年より行われている。同コースで前日に行われていた「第25回日本片マヒ障害者オープンゴルフ選手権」、11月に行われる「日本障害者オープンゴルフ選手権」とともに、国内で行われている公式公式大会の一つで、世界ランキング(WR)の対象試合となる。国内選手のみならず、韓国、香港、マレーシア、台湾からの参加選手も含め、45名の選手が悪天候の中プレーした。 悪天候ながらグリーンの状態は良く、選手たちは実力をいかんなく発揮した 当日は気温が低く、強い雨という悪条件の中、雨天中断を挟んで18ホールで争われた。ティーグラウンドやグリーンは雨の影響がほぼない素晴らしいコースだったが、フェアウェイはところどころに水たまりが見られ、川のようになっている箇所もあるほどの雨量だった。 優勝は、前半を32、後半を38の76でまとめ、2位に3打差をつけた吉田隼人。昨年パラ陸上を引退した山本篤は81で4位となった。 「76」で優勝した吉田隼人 パラ陸上で活躍した山本篤は4位に入賞 香港から参戦したアンドレアス・マ コースの斜面も難なく自走で移動し、ナイスショットでグリーンに乗せた大村実法 片腕でショットを打つ有迫隆志 義手を使ってプレーする小山田雅人 片足でプレーする石原隆治 車いすの部の選手は、ボランティアプレーヤー(手前)と一緒に回る。ボランティアプレーヤーは自分でプレーもしながら、車いすの選手が合わせた位置にティーアップするなどの手伝いもする 片麻痺の選手もプレー この日は、悪天候により世界ランキング対象選手のみの試合となったが、通常、障害総合の部(上肢切断、下肢切断)、片マヒの部、車いすの部、女子の部、知的障害の部、軽度障害の部の6つのカテゴリーがあり、それに加え、ボランティアの部も設定されている。 協会の大きな目標の一つが「パラリンピック競技採用」だ。そのために必要な条件の一つに、五大大陸で一定の競技人口が確保されていることがある。女性の競技人口が全体の約半分を満たさねばならい、という大きな課題は残るものの、「障害を越えて、誰もがゴルフを楽しめる環境づくり」を確実に実践している。興味のある方は扉を開いてみてはいかがだろうか。 日本障害者ゴルフ協会 https://dga-japan.com/ 写真・文/吉村もと
- 期待の選手が躍動!2025ジャパンパラ陸上競技大会
期待の選手が躍動!2025ジャパンパラ陸上競技大会
- 6月7日~8日、宮城県仙台市の「弘進ゴムアスリートパーク仙台」で、2025ジャパンパラ陸上競技大会が開催された。すでに九州では梅雨入りしていたが、仙台市は両日ともに晴天の夏日。気温、湿度の高いコンディションの中、328名の選手が躍動した。 今年は、9月にインド・ニューデリーでパラ陸上競技世界選手権が、11月には東京でデフリンピックが開催される。デフリンピック出場内定を決めた選手たちや、この大会でパラ陸上の世界選手権の派遣標準記録突破を目指す選手たちが集まった。 デフは世界トップレベルの短距離陣に注目! デフ陸上短距離界の日本の第一人者・佐々木琢磨は、100m優勝、200m2位。400mリレーも含め、11月の東京デフリンピックでの三冠獲得が期待される デフリンピックの陸上競技は、メダル獲得が期待される競技の一つ。前回大会100mで金メダルを獲得し大会2連覇を目指す佐々木琢磨は、メインである100m、200m、リレーに出場。個人種目としては100mで優勝、200mでは山田真樹に次いで2位となった。 聴覚障害・男子100mx4リレーの日本代表チームでは、昨年、41秒15で世界新記録を樹立している。リレーの世界記録は、1977年にアメリカが手動計測による41秒1以来、更新されていなかった。日本代表がマークした記録は電動計時によるもので、これが公式に聴覚障害の世界記録として認定されたということになる。 今大会、日本代表チームは、1走に坂田翔悟、2走に荒谷太智、3走に山田、アンカーに佐々木で、このメンバーは内定後に急遽決まった初顔合わせだった。42秒45の記録で、同じく聴覚障害の仙台大学チームを下した。 「デフリンピック初出場の荒谷が入り、ジャパンパラ会場に入ってから少し練習しただけでしたので、まずはしっかりバトンパスを成功させることをテーマに走りました」(佐々木) 「日本代表に選ばれて、初めて代表ユニフォームを着て出場しました。無事にバトンを渡すことができましたが、本番でも誇りを持って走りたい」(荒谷) 「高校時代からリレー経験がありますが、日本代表として走ることで自然とパワーがもらえました。11月のデフリンピック本番では、伝説のレースだったと言われるように。そのスタートが切れたかな、と思っています」(山田) 「日本代表ユニフォームを着用したことで、デフリンピックが開催されるということを、みなさんに知っていただけたかと思います。今後も、いろんな人に見てもらえるようにアピールしていきたいです」(坂田) 新人・荒谷は、佐々木が直接スカウトしたのだとか。 「ある合宿で、廊下を歩いているときに、何だかいい匂いがすると思ったら、荒谷がドミノピザを食べていた。それで声をかけて、一緒に練習するようになりました。声をかけて、本当に良かったです(笑)」(佐々木) 今後は、合宿でメンバー同士のバトンパスの精度を高め、11月のデフリンピック本番では「世界がまだ出していない40秒台、あるいは40秒を切る世界記録に挑戦したい」と意欲を見せた。 デフ女子400mリレー。日本代表チームの三走・今野桃果(右)からアンカー・生井澤彩瑛(中右)へのバトンリレー 一方、聴覚障害女子のリレーは、デフリンピックでは2016年に行われたブルガリアの世界選手権以来、9年ぶりの出場。今大会には、今野桃果、生井澤彩瑛、門脇翠、遠藤心音が出場し、51秒10でフィニッシュした。 期待の若手!短距離の吉田彩乃、やり投げの小松紗季 高校を卒業し、練習環境を変えたことで急成長を見せた、脳性まひ車いすクラスの吉田彩乃 パラ陸上では、昨年、パリパラリンピックに初出場した脳性まひクラス女子T34で100m、800mに出場した吉田彩乃が、活躍を見せた。同じクラスの小野寺萌恵が、どちらの種目でも日本記録を保持しているが、その小野寺を抑えて2種目とも優勝。レース展開で駆け引きも重要となる800mでは、レーン合流後に小野寺の後ろにピタリとつけた吉田が、最終周第3コーナーを回るあたりで小野寺を捉え、そのまま抜き去り2分16秒55の大会新記録でフィニッシュした。 「今年、高校卒業後の4月から岡山にあるワールドACの所属となり、練習環境がとても充実したことが、この結果に結びついています」 神奈川県横浜市出身で、高校時代までは母と2人で練習してきた吉田。そこから就職し、パラ陸上競技の日本代表選手が在籍するワールドACで、専門のスタッフやコーチによる指導が受けられるようになったことで急成長している。 「スタートも、持久力も上がってきましたし、使っているレーサーの調整などもしていただいています。それで自己ベストを大幅に更新することができました」 今は、小野寺の持つ日本記録を更新し、真の日本一になること、さらに数年かけて世界一を目指したいと語った。 ”借り物”のやりと投てき台で世界選手権派遣標準記録を大幅に超える記録を出した、車いす女子F54クラスの小松沙季。パラカヌーから転向したばかりの選手だ もう一人、今年華麗なデビューを飾ったのが、車いすのやり投げ女子F54クラスの小松沙季だ。もともとパラカヌー選手として活躍していたが、パラ陸上のやり投げに転向。今大会1投目でマークした16m99は、世界選手権派遣標準記録の15m04を大幅に超えるビッグスローだった。 「4月の日本選手権以降、スイングスピードの強化として1kgのメディシンボールを購入し、それを早く投げる練習をしてきたことが成果につながったのかな」 と、淡々と語る。まだまだパラ陸上を始めたばかりで、専用のやりも、投てき台も所有せず、大会が用意したものを使用して、この記録を出したのだった。 「やりも投てき台も、もっと自分のフォームやスタイルを見極めてから、しっかり選んで購入したいと思っています」 知的障害のやり投げ女子T20クラスで世界新記録を出した堀玲那 そのほか、知的障害のやり投げで女子T20クラスの堀玲那が42m17をマーク。これは日本新記録とともに、Virtus(国際知的障害者スポーツ連盟)公認の世界新記録だった。本人は、「パラ陸上T20クラスでの世界記録を目指したい」と、さらなる意欲を見せた。 取材・文/宮崎恵理 写真/吉村もと
- 丸大食品株式会社と TEAM JAPANが パートナーシップ契約を締結
丸大食品株式会社と TEAM JAPANが パートナーシップ契約を締結
- (公財)日本オリンピック委員会(JOC)と(公財)日本パラスポーツ協会・日本パラリンピック委員会(JPC)は、丸大食品株式会社と TEAM JAPAN パートナーシップ契約を締結しました。 丸大食品株式会社は、 ロサンゼルス 2028 オリンピック・パラリンピック競技大会終了後の 2028 年 12 月末まで、TEAM JAPAN、JOC 及び JPC に関する呼称やマークの使用などをはじめとした権利を、マーケティング活動や CSR 活動等に行使することが可能になります。 ■森 和之 JPC 会長 コメントスポーツと食を通じて、長きにわたりスポーツ振興を支援いただいている丸大食品株式会社様に JPC オフィシャルパートナーとして協賛いただけますことを、大変光栄に思います。障がいのあるアスリートたちが様々な工夫をしながら限界に挑むパラリンピックは、その魅力を通じて世の中の人たちへ気づきを与え、共生社会の実現を推し進めるものです。丸大食品株式会社の皆様と協働し、TEAM JAPAN のアスリートの支援や、スポーツを通じて誰もが力を発揮し活躍できる共生社会を目指すパラリンピックムーブメントの推進をこれからも行って参ります。
- 日本勢活躍!「ワールドトライアスロン パラシリーズ横浜2025」
日本勢活躍!「ワールドトライアスロン パラシリーズ横浜2025」
- 5月17日、「ワールドトライアスロン パラシリーズ横浜2025」が、山下公園周辺の特設会場で開催された。東京2020パラリンピック、パリ2024パラリンピックのメダリストなど、トップ選手が世界から集結するパラトライアスロン恒例の国際大会だ。 パラトライアスロンは、スイム750m、バイク21.226km(横浜大会では、4.245km×5周)、ラン5km(横浜大会では、車いすクラスのみ2.5km×2周、それ以外のクラスは1.67km×3周)で競われる。トランジションと呼ばれる、各パートの切り替えをどれだけ短時間で行えるか、それぞれの持ち味の種目をどう活かすかが、勝負のカギとなる。 当日は、気象情報通り、前日未明からの雨が降っていた。6時50分のスタート時、気温、水温ともに20度。幸い、風は強くない。気持ちのいい晴天ではないことを、逆にチャンスととらえる選手が多いのは、パラトライアスロンに出場する選手の特徴でもある。シーズン初めで自国開催となる日本人選手の活躍を楽しみに、早朝から観客も集まっていた。 パリパラリンピック以降、パラトライアスロン日本代表のヘッドコーチに福井英郎氏が就任。福井HCは2000年シドニーオリンピックに出場した経験を持つ。新体制でスタートした中での横浜大会である。 シーズン序盤となる自国開催で、日本人選手が活躍した。 PTS2女子では、秦由加子が2位、パラ陸上競技から転向してきた保田明日美が3位。PTS4女子では、谷真海が3位。 視覚障害男子PTVIで6位に入った山田陽介(ガイド:寺澤光介、写真手前) 男子では、PTWC(車いす)で木村潤平が3位、PTS2で中山賢史朗が6位。視覚障害の男子PTVIでは、樫木亮太(ガイド:水野泉之介)が5位、山田陽介(ガイド:寺澤光介)が6位。もっとも出場人数の多いPTS5男子(全12名)では、佐藤圭一が10位、安藤匠海が11位、パラ陸上競技でも活躍経験のある永田務はスイムから上がったところで途中棄権した。同じく出場人数が10名のPTS4男子では、東京パラリンピックで銀メダルを獲得している宇田秀生が5位、金子慶也が6位に入った。 PTS2女子で2位の秦由加子 昨年、パリパラリンピック直前の練習中に落車事故で右肘骨折という大怪我を負った秦由加子は、今年1月に治療のためのワイヤーを抜く手術をし、2月に練習を再開させたという。秦はパラトライアスロンが正式競技となった2016年リオ大会からパラリンピックに出場しているベテラン。パラ陸上競技から転向してきた保田明日美の存在は大いに刺激になっていると語る。 「とくにランはとても参考になります。動画を撮影させてもらって、それを元に練習もしています」 同じ大腿義足のアスリートとして、走る義足についても情報を共有しているとか。今大会では、ランのラストラップで保田に捉えられたが、その直後のコーナーで保田が転倒し、それぞれ5位、6位となった。 その安田は、「雨天での練習はしていたが、こんな厳しい条件でのレースは初めて。ランパートの最後で秦さんの背中が見えて抜き去ったのは良かったけれども、もう、足がもつれてしまいました。やはり、経験の差がまだまだ大きい」と、振り返った。 PTWC(車いす)男子3位の木村潤平 新体制となったチームの力を今まで以上に感じていると語るのは、車いす(PTWC)男子の木村だ。 「世界のレベルがどんどん上がっている中、マシンの調整、とくにバイクの調整では専門のメカニックが細かく対応してくれる。ベストな調整を施したバイクに、エンジンとなる自分の体をいかにフィットさせ、スキル、フィジカルを向上させていくか。この両軸がないと、世界には勝てないが、シーズン序盤のレースですごく手応えを感じた」 雨の中、1着の選手が実はバイクでの周回ミスにより失格となった。 「沿道でのスタッフからの情報は入っていたが、諦めずに走ることで3位という結果を手に入れられた。今回はラッキーではあるが、新体制でのジャパンチームのメリットを、すごく感じられたレースでした」 と、新チームへの期待とともに、将来を見据えている。 オリンピアンである福井HCが率いるパラトライアスロンチーム。オリンピックとパラリンピック双方の日本代表チームが連携し、一つのジャパンチームとして機能させる方針だという。 「まずはスタッフ間の情報共有からスタートしました」 種目ごとの専門コーチなどの意見や分析を取り入れながら、オリ・パラの一体感を高めて、3年後のロス、7年後のブリスベンに向かっていく。 取材・文・写真/宮崎恵理
- アメリカ、オーストラリアを迎え、車いすラグビー「SHIBUYA CUP 2025」開催
アメリカ、オーストラリアを迎え、車いすラグビー「SHIBUYA CUP 2025」開催
- 4月18日から3日間、車いすラグビーの国際大会「SHIBUYA CUP 2025」が開催された。この大会は東京2020パラリンピックのレガシーとしてスタートし、今年で3回目を数える。開催場所は、まさに東京2020パラリンピックで車いすラグビーの試合会場になった国立代々木競技場第一体育館だ。 大会の特徴は、若手育成のための国際大会であること。今大会には、昨年パリパラリンピック決勝戦で日本が撃破したアメリカ、同じく準決勝で対戦し銅メダルを獲得したオーストラリアが来日。それぞれ、ロサンゼルス大会を見据えたフレッシュなメンバーが顔を揃えた。 試合は、3カ国による総当たり戦を3日間行い、勝敗数によって順位が決定する。日本は、アメリカに2敗、オーストラリアには2勝して最終日に臨んだ。ちなみにアメリカはオーストラリアにも2勝していた。 オーストラリア戦の橋本勝也(左) 先に対戦したのはアメリカだ。日本は今大会キャプテンを務める橋本勝也、中町俊耶というパリパラリンピック経験者に、壁谷友茂、鈴木康平のラインナップでスタート。ティップオフを勝ち取ったアメリカがそのままトライを決めて先制すると、第1ピリオド9-13とリードを許した。続く第2ピリオドで19-25と点差を広げられ、後半第3ピリオドでは33-37と追いかけるも、最後は44-51で敗れた。 アメリカで光ったのは、18歳で3.5点のザイオン・レディントン。今大会のアメリカ一長身のメイソン・シモンズとともにロングパスからのトライを決めていた。一方、日本でも今大会最年少の19歳、青木颯志(2.5点)も、プレータイムは多くないものの活躍を見せた。後半アメリカを猛追する中で、壁谷への正確なパスでトライをアシストし、相手ディフェンスの進路を塞いで味方の花道を作った。 最終戦となった日本対オーストラリアの試合は、オーストラリアに先制を許すが、第1ピリオドは13-11とリードし、その後も順調に点差を広げて51-48で日本が勝利。最終日の結果から、1位は全勝のアメリカ、2位に日本、3位オーストラリアとなった。 優勝したアメリカチーム 若手中心で挑んた日本チームは準優勝 3位のオーストラリアチーム MVPを受賞したアメリカのアレックス・パボン(右)。パボンは両手欠損のため、メイソン・サイモンズ(左)がサポート 今大会のベストローポインターに日本の鈴木康平、ベストミドルポインターにはオーストラリアの女子選手リリアナ・プルチャ、ベストハイポインターには同じくオーストラリアのアンドリュー・ホロウェイ、MVPは優勝したアメリカの2.5点選手、アレックス・パボンが選出された。 青木は、昨年11月に行われた同大会に続いて2度目の出場。「今大会では、しっかり顔を上げてプレーすることができました。国際大会では(普段とは異なる)体格の大きい選手が多く、難しい局面もあってまわりが見えなくなることも多い。でも、以前よりもパスを出すべきところ、走るべきところなどの判断ができるようになりました」と、手応えを語った。 中谷英樹ヘッドコーチも「SHIBUYA CUPは若い選手にとって、絶好の成長機会。青木は、まだまだこれから伸びていく選手。クラス2.5点の青木には、ハイポインターに対して瞬間的に1枚でもディフェンスをしたり、ハイポインター並みのクイックネスが必要になる。今大会でも、アメリカのパボンや女子のサラ(アダム、2.5点だがコート上では新ルールにより1.0点マイナス)など、ミドルポインターの活躍が目立っていた。どんどん仕掛けていく選手に成長してほしいと思っています」 今大会、アシスタントコーチとしてベンチから試合を見守っていた日本代表キャプテンの池透暢も青木を含む若手選手について「スキル、ハート、すべてが成長していかなくてはいけない段階。とはいえ、国際クラス分けも行われ、世界トップクラスの国と戦えるSHIBUYA CUPの意義は大きいです」と、若手の経験、情報を底上げすることができる大会のメリットを強調していた。 また、アシスタントコーチという立場からは「どれだけスタッフが選手を支えているかを改めて感じることができました。パリ大会まではアナリストという立場で関わってきた中谷ヘッドコーチが、その経験をもとに采配する姿、有効なタイムアウトの取り方などカードを切るタイミングなどを間近に見られて、非常に学ぶところがありました」 アメリカの18歳レディントンも急成長を見せ、日本の橋本に並ぶハイポインターに化けるポテンシャルがある。オーストラリアにも、ライリー・バットやクリス・ボンドら主力選手と組み合わせることで、強力なラインナップを形成する20代選手が複数存在する。アジアオセアニア選手権、アジアパラ競技大会、世界選手権と、重要な国際大会が待っている。SHIBUYA CUPで暴れた選手がこの先どんな活躍を見せてくれるか、楽しみだ。 会場ではラグ車試乗体験などのイベントが行われた 文・写真/宮崎恵理
- アジア記録3、日本記録23、大会記録36!パラアスリートが躍動した「第36回日本パラ陸上選手権大会」
アジア記録3、日本記録23、大会記録36!パラアスリートが躍動した「第36回日本パラ陸上選手権大会」
- 4月26日から2日間の日程で、パラ陸上の日本一決定戦、「日本パラ陸上競技選手権大会」が愛媛県松山市のニンジニアスタジアムで行われた。約250名のアスリートがそれぞれの目標に挑み、好天にも後押しされ、多くの好記録が誕生した。2日目は風が強く吹く時間帯もあり、追い風参考記録も多数あったなか、2日間でアジア記録が3、日本記録が23、大会記録36が更新された。 女子100mで15秒55、走り幅跳びでは4m88と、自らの持つ2つのアジア記録を更新した兎澤朋美 兎澤朋美(T63・片大腿義足/富士通)は女子100mで15秒55をマークし約4年ぶりに、走り幅跳びでは4m88(+1.5)を跳び3年ぶりに、自らの持つ2つのアジア記録を塗り替えた。 シーズン初戦での快挙に、100mについては、「やっと更新できてホッとした。(練習の)方向性は間違っていないと確認できた」と話した。走り幅跳びについては追い風参考記録ながら3回目には4m96(+3.5)もマークし、ここ数年目標に掲げている5m越えが、「今日、すごく具体的に現実的になったなと、ひとつ手応えは得られた。いい流れのまま今シーズン走り抜けられるようにしたい」と、笑顔ながら力強く言い切った。 女子砲丸投げの堀玲那(F20)は、12m81を投げて自身のアジア記録を34㎝更新 もうひとつのアジア新は女子砲丸投げで、堀玲那(F20・知的障害/WORLD-AC)が2投目に12m81を投げ、自身が2023年に作ったアジア記録を34㎝伸ばした。 「公式戦で12m後半を投げられていない弱さを感じていたし、自己ベストも2023年からできていなかったので、本当にホッとした」と笑顔を見せた。今年4月から岡山市のパラ陸上実業団、World-ACに所属したばかりの堀。「チームの一員として、初戦でしっかり自己ベストを出せたことは本当に嬉しい」と語り、さらなる飛躍を誓った。 松本武尊(T36)は男子100mで自身の記録を0秒1更新する12秒03の日本新記録で、9月に行われる世界選手権の派遣標準記録を突破した 今大会は、9月にインド・ニューデリーで開幕する世界選手権の代表選考会のひとつにも位置付けられている。多くの選手が派遣標準記録に挑むなか、松本武尊(T36・脳原性まひ/ACKITA)は男子100mで12秒03(+2.0)派遣標準を突破。同時に、自身のもつ日本記録を0秒1、塗り替えた。 しかし本人は、「派遣標準や日本新は頭になく、とにかく11秒台を出さなければと思っていたので悔しい」と残念がった。スタートがやり直しとなり、「1回目のピストルの時はすごくスタートがうまくいった。それでも、2回目は接地がちょっと外側すぎて遅れた」と振り返り、「11秒台が近づき、モチベーションがあがった」と前を向いた。 松本は専門種目の400mではすでに世界選手権の派遣標準をクリアしており、今季は世界選手権でのメダル獲得が大きな目標だ。さらに、4年後のロサンゼルスパラリンピックも見据え、増量による肉体改造にも挑んでいる。昨年春から約10㎏増量し、「疲れなくなったし、体幹が強くなって走りが安定してきた」と効果を語る。また、昨年から本格的に取り組みだした走り幅跳びでも5m9(+2.0)を跳び、自身がもつ日本記録を9㎝更新した。同クラスの世界記録は6m05、アジア記録は5m75(*)と世界とはまだ差があるが、多様な種目に挑戦することで、「陸上競技をできるだけ長く楽しみたい」と意欲的だ。(*いずれも、2025年4月27日時点) 大会期間中には「ブレードランニングクリニック in 愛媛」「ブラインドランナーの観戦・体験会ツアー」が開催され、参加者は義足で走る体験を楽しんだ 大会期間中には、パラ陸上の体験会も開かれた。初日は走るためのスポーツ義足を用いた「ブレードランニングクリニック in 愛媛」が、2日目は「ブラインドランナーの観戦・体験会ツアー」が行われ、愛媛県内からを中心に約10名が参加した。 「ブレードランニングクリニック in 愛媛」では、希望者にはスポーツ義足が貸し出され、現役の義足アスリートや義肢装具士など専門家の指導のもと、ランニングを楽しんだ。その後、アスリートたちを囲んだ交流会も行われ、笑顔あふれる時間が流れた。 取材・文/星野恭子 写真/吉村もと