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  GS優勝をめざして 大谷桃子【車いすテニス】(その2)

GS優勝をめざして 大谷桃子【車いすテニス】(その2)

「大学に入ってから、去年、初めてジャパンオープンを見に行ったんです。たくさんの海外選手に交じって日本人選手が長い長いラリーをしていた。それを見て、ああ、こういう試合がしたいって、むくむくと闘志が沸き起こったんですね」 そこから、車いすテニスを指導してくれるコーチ探しが始まる。理学療法士の紹介で、現在の古賀雅博コーチに出会った。 「僕もテニスのコーチはしているけれど、車いすテニスの指導経験はない。先輩に相談したら、きっと君ならできると背中を押されて」(古賀) 選手とコーチの二人三脚。車いすテニスへの挑戦が始まったのだった。 「テニスのスキルはなんとかなる。でも、車いすの操作は未熟。だから、古賀コーチとの練習の1時間前にはコートに来て、一人で走り込みをしてました。でも、どういう練習をしたら効果的なのか、まったくわからない。テレビやインターネットの動画で参考になりそうなものを見つけては、片っ端から真似してましたね」 2016年9月、初めて大阪オープンに出場。 「2回戦で韓国の選手と対戦して、勝ったんです!」 この勝利が、大きなきっかけになった。大阪オープン、その1ヶ月後に行なわれた広島オープンで準優勝。11月に国内のトップ選手が出場できる選抜選手権(マスターズ)に出場し、決勝で上地結衣と対戦。第1セットで上地を追い詰めたが、惜しくも準優勝に終わった。 「広島オープンでは、大阪の決勝で負けた相手に、11月のマスターズでは広島オープンの決勝で負けた相手にリベンジできた。大会に出場することで、何を改善すべきかがやっと見えるようになりました」 1月のマスターズには、男子の先輩選手の競技用車いすを借りて出場した。自分専用のテニス車をオーダー、入手したのは、今年2月に入ってからだ。 「以前レンタルしていた車いすは背もたれやサイドが高くて、プレー中によく肘が当たってアザができていたんです。だからこれを低く設定して作ってもらいました。また、足が痙攣することがあるので、両足の前と後ろに固定するためのベルトをつけています」 マイ車いすとともに、今年5月、昨年は観戦していたジャパンオープンに出場。メインドロー2回戦でオランダのディード・デグルートと対戦し敗退した。デグルートは現在世界ランキング3位の選手だ。 「日本には世界ランク1位の上地選手がいますが、ディード選手は上地選手とはまったく違う球種や球筋。負けたけど、本当に世界を目指すための課題と目標が明確になりました」   (写真/吉村もと 取材・文/宮崎恵理)


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